G20開幕へ 世界経済・自由貿易めぐり火花
【ブエノスアイレス=杉原淳一】日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)の首脳会議が30日(日本時間12月1日未明)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開幕する。世界経済や自由貿易、温暖化対策など地球規模の課題をめぐり、首脳同士が協議する。2日間にわたる期間中に米中など多くの首脳会談も開かれる。米ロ会談が突然中止となるなど早くも駆け引きが激化している。
安倍晋三首相やトランプ米大統領、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席、ロシアのプーチン大統領のほか、記者殺害事件をめぐって注目を集めているサウジアラビアのムハンマド皇太子らが参加。12月1日に採択される見通しの首脳宣言のメッセージにも注目が集まる。米中、日米、日ロなどの2国間の首脳会談も予定されている。
国際通貨基金(IMF)が10月に世界経済見通しを下方修正するなど、米中の貿易戦争が世界経済の大きなリスクとなっている。米国の利上げも、多くの債務を抱える新興国景気を下押しする。
首脳会議に先立ち財務相会議が開かれ、麻生太郎財務相は会議後、記者団に「中国と米国との間でよほどきちんとした話ができない限り、今の流れはそう簡単に変わらない」と指摘した。首脳会議では世界経済のほか、気候変動への対応やエネルギー問題など国際協調が欠かせない分野についても話し合う見通しだ。
トランプ氏が初めて参加した2017年のドイツ・ハンブルクでのG20首脳会議では、首脳宣言に「保護主義と引き続き闘う」と明記した。ただ18年に入ってからの国際会議では米中対立などの影響で協調の枠組みが揺らいでいる。日米中など21カ国・地域が11月に開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)では通商政策を巡る米中の溝が埋まらず首脳宣言の採択を初めて断念した。