中国、新潟産コメ輸入解禁 7年ぶり 輸出拡大に弾み
農林水産省は29日、中国が新潟県産コメの輸入停止を約7年ぶりに解除したと発表した。同県産のもみ米や玄米で、中国税関総署が登録する日本の工場で精米加工した場合、輸入を許可する。東京電力福島第1原発事故の影響で、中国は東北地方や新潟など10都県からの食品輸入を停止していた。主力産地の新潟からの輸入解禁で輸出拡大に弾みがつきそうだ。
中国政府が28日、「日本新潟米の輸入を許可する」と発表したもので、日本の約20倍のコメを消費する最大市場である中国への輸出が可能になる。中国では日本のコメは高価格だが、日本の食に関心がある富裕層も拡大しており、中国の輸入解禁のインパクトは大きそうだ。
日本のコメ輸出は、17年に前年比19%増の1万1841トンと過去最高を更新している。地域別では香港向けが首位で、17年は4128トンと全体の35%を占めた。仮に北京と上海で同量を輸入するようになれば、それだけで日本からの輸出量は7割増える計算だ。
新潟は18年産の主食用米で、生産量が全国首位となる見通し。これまで中国への輸出は他県を中心に、17年は298トンのみ。世界全体への輸出総量の2.5%にとどまっていた。「世界最大のコメ需要がある中国で、ブランド力のある新潟米が解禁となった意義は大きい」(コメ卸大手の木徳神糧)
東京の米穀店では最近、中国人の観光客が「新潟産」や「魚沼産」のコシヒカリを指定して買う姿も見られる。今後は中国に直接輸出できることで、帰国した人が中国で購入することも可能になる。
全国農業協同組合連合会(JA全農)に輸出用米を卸している農業法人、穂海農耕(新潟県上越市)は、「中国が輸出先に加わると、輸出用の作付けを継続しやすくなる」(丸田洋社長)と歓迎する。中国では日本の2~3倍の高価格帯になる見通しで、「1キロ1500円程度になりそう」(新潟県加茂市のライスグローワーズ)という。
一方、新潟のコメ加工品は、依然として中国に輸出できない。農林水産省はコメと加工品の世界向け輸出で19年に10万トンの目標を掲げているが「現状では日本酒のほうが輸出金額は多い」(神明の藤尾益雄社長)。新潟県酒造組合の平島健副会長(尾畑酒造社長)は「香港で商談会を開くと中国本土のバイヤーが新潟からの輸入規制を残念がっている。中国は高単価の日本酒需要が拡大しており、解禁を待ち望んでいる」と話している。
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