東洋エンジ、優先株で資本増強 インテグラルが引き受け
経営再建中の東洋エンジニアリングは28日、第三者割当増資で優先株を発行し、150億円を調達すると発表した。投資ファンドのインテグラル(東京・千代田)が引き受ける。米国でのプラント建設の採算悪化で自己資本が毀損しており、優先株発行で財務基盤を立て直す。
1株740円の優先株2027万株を新たに発行する。2019年2月に臨時株主総会を開き、決議する。増資により自己資本比率は9月末の約11%から17%に改善する見通し。調達した資金はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の研究開発や事業投資に使う。
今回発行する優先株は会社が解散した場合の残余財産の分配で優先されるものの、優先配当はない。インテグラルが希望すればいつでも議決権がある普通株に転換できる。全て普通株に転換した場合、インテグラルの議決権比率は約34%になる。
同日、記者会見した東洋エンジニアリングの芳沢雅之取締役は、インテグラルは転換した普通株を市場などで売却する方向だと説明した。三井物産が筆頭株主であることは変わらないとし、「今後はインテグラル、三井物産としっかり協調して企業価値をあげていく」と語った。会見に同席したインテグラルの山本礼二郎代表取締役パートナーも「三井グループとして維持されることが原則」と語った。
東洋エンジニアリングは、工事の採算悪化で業績不振に陥っている。主な要因は、信越化学工業から受注した米国エチレンプラントだ。18年3月期は268億円の最終赤字に転落。経営再建策を模索していた。山本氏は「大型プロジェクトの赤字というほぼ一過性の事案がなくなれば成長軌道に戻る」と指摘した。
東洋エンジニアリングは現在、利益剰余金がマイナスになっており配当ができない。このため資本金と資本準備金の一部を取り崩して、利益剰余金に振り替える。芳沢氏は「できるだけ早い復配を考えており、そのための措置」と述べた。
インテグラルは航空会社、スカイマークの再建も手がけている。東洋エンジニアリングには今年3月ごろから接触したもようだ。インテグラルは出資後、社外取締役として山本氏を送り込む。
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