米産業界「サービス含む包括協定を」 対日交渉で要望
【ワシントン=鳳山太成】2019年1月にも始まる日米貿易交渉を巡り、米産業界は26日までに目指すべき成果などを記した要望書を米政府に提出した。サービスや投資も含む包括的な協定の締結を期待しているほか、牛肉など農産品や自動車の貿易障壁削減を日本に求めるべきだとの意見が相次いだ。米政府は産業界の要望を踏まえて交渉の目的をまとめる。
米通商代表部(USTR)は日本との貿易交渉を始めるにあたって業界団体などから意見を募っており、26日に書面での提出を締め切った。12月10日に開く公聴会とあわせて参考意見とし、優先する議題や獲得すべき目標を交渉開始の30日前までに文書に盛り込む。
米商工会議所は「特定の物品やサービスの関税引き下げに限らず、包括的な協定にすることに重点を置くよう」要請した。米IT(情報技術)大手シスコシステムズも、サービスや電子商取引、知的財産といった環太平洋経済連携協定(TPP)でも扱った広範なルールづくりを、対日交渉の第1段階に含めるべきだと提言した。
日本政府はサービスなどを含む包括的な自由貿易協定(FTA)と区別し、対米交渉の焦点をまず「物品貿易協定(TAG)」に絞ると国内向けに説明してきた。
焦点となる日本の農産品の市場開放では、米食肉輸出連合会が関税引き下げで早期に妥結するよう要求した。米国を除くTPPや日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が19年春までに発効すれば、米国の牛肉輸出が年5億ドル超減るなどと訴えた。米農業連合会も「TPP以上」の市場開放に言及した。
自動車では全米商工会議所が、米国車を日本市場に輸出しやすくするため安全基準見直しを日本に求めるべきだと要望した。一方で同会議所や全米自動車ディーラー協会は米政権に対し、日米貿易協定を結んだ場合、検討中の輸入車への高関税で日本を明確に対象外とするよう念を押した。日米両政府は交渉期間中には自動車関税を棚上げすると確認している。
USTRは10月16日に対日貿易交渉を始める方針を米議会に通知した。米貿易関連法では90日前に議会に通知する決まりのため、19年1月中旬にも交渉を始められる。
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