ゲノム編集で女児誕生? 3つのポイント
中国の研究者が遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」を人の受精卵に使い、双子の女児が誕生したと主張しています(「中国で『ゲノム編集女児』誕生か 大学側は『倫理違反』」参照)。成果に対する信ぴょう性や倫理的な問題が指摘されています。ゲノム編集の医療応用の動向や各国の規制はどうなっているのでしょうか。
(1)ゲノム編集とは
遺伝子の狙った部分だけを壊したり置き換えたりする技術です。狙い通りに切り貼りできる技術なので「編集」という言葉が使われます。2000年代に研究が本格化し、特に使いやすい「クリスパー・キャス9」という技術が発表されると、世界中に急速に広まりました。農産物の品種改良や病気の治療への応用が期待されています。
(2)医療への研究進む
患者の体の細胞にゲノム編集する方法と、受精卵に施す方法があります。免疫の働きにブレーキをかける遺伝子を壊し、がん患者の治療にいかす研究などが海外で進んでいます。受精卵に実施する方法は遺伝性の難病の原因遺伝子を壊したり、正常に修復したりします。
(3)安全性や倫理での課題も
日本では受精卵のゲノム編集について指針づくりが進んでおり、2019年4月から基礎研究に限って解禁される見通しです。臨床応用は禁じられています。多くの国では、今回のようにゲノム編集した受精卵を人や動物の胎内に戻すことは禁止されています。
狙った遺伝子以外を改変してしまう恐れがあり、安全面の問題が指摘されています。親が望む姿や能力を持つ「デザイナーベイビー」の誕生につながる可能性も問題視されています。