GM7工場停止へ、人員15%削減 米追加関税でコスト増
【シリコンバレー=白石武志】米ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、全世界で15%の人員を削減すると発表した。米国内の4拠点を含む北米5工場で生産を停止するほか北米以外でも2工場を閉鎖し、ガソリン車の開発や生産の人員を減らす。次世代車の開発競争に備えコストを減らす狙いのほか、米国の関税引き上げによる原材料高の影響もありそうだ。
GMは10月末には北米で約1万8000人を対象に早期退職の募集を始めていた。今回の発表は北米に約40ある工場のうち、米ミシガン州デトロイトとオハイオ州、カナダのトロント近郊の3つの完成車工場と米国内の2つの部品工場が対象だ。2019年に新たな生産車種の割り当てをやめる。北米で販売不振が続くセダンを主に造っており、稼働率が低迷していたもようだ。
北米以外では既に表明済みの韓国・群山工場に加え、19年末までに2工場の操業を中止する。開発に費用がかかるプラットホーム(車台)を絞り込むなど業務プロセスを合理化することで、管理職については世界で25%を削減するとしている。
一連のリストラに伴って30億~38億ドル(3400億~4300億円)の費用を計上する見込み。大部分は18年10~12月期と19年1~3月期に発生するとしている。コスト削減や投資の抑制によって、純現金収支は20年末までに年間60億ドル改善するという。
ガソリン車の開発や生産の人員を削減する一方で、電動化と自動運転技術の開発に割り当てる人員は今後2年で2倍に増やす。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は今回のリストラ策について「私たちの変革を機敏で弾力的かつ収益性の高いものにしていくものだ」とコメントした。
投資家はリストラ策を評価し、株価はニューヨーク市場で前週末比5%上がった。
GMは7月、18年12月期の業績予想を下方修正している。米国が発動した鉄鋼やアルミニウムへの追加関税による原材料費の上昇が要因だ。今回のリストラはこういったコスト増が今後も続く可能性もにらんだものとみられる。
トランプ米大統領は雇用創出を公約に掲げ、自動車産業を特に重視しているが、GMは企業としての競争力を高めるためには米国内の工場もリストラ対象にせざるを得ないと判断したようだ。