インド元中銀総裁「金融の効率化必要」
不良債権問題に懸念 国営銀
インド準備銀行(中央銀行)元総裁のY・V・レディ氏は26日、都内で講演し、不良債権問題が顕在化している同国の金融システムに懸念を示した。国営銀行中心の現状では「金融市場(の変化)への反応が鈍い。効率化が必要だ」と述べ、民間への一段の市場開放の必要性に言及した。
インド経済研究所(榊原英資理事長)が主催した「2019年以降の新たな日印関係を展望する」と題したシンポジウムで、レディ氏は「インド経済 表面的な弱さと隠れた強さ」と題して講演した。
インドでは18年に入りノンバンクの信用危機への対応などを巡り中銀と政府の意見対立が表面化した。双方が非難合戦を繰り広げたが、19日には中銀が政府に歩み寄る緩和策の検討を発表して譲歩した。レディ氏は「友好的に解決した」と述べ、決定的な対立は避けられたとの見方を示した。
イベントの後半では、日銀の黒田東彦総裁ら日印の官民の有力者らがインド経済の行方を議論した。黒田総裁は「規制緩和や外資導入でインドの経済成長には勢いがある」と評価した。
三菱商事の小島順彦相談役はインドのスタートアップ企業が米英に次ぐ規模だと指摘し、「インドの発展に資するような新たなビジネスを協業したい」と意欲を示した。
世界銀行の最新のビジネス環境ランキングでインドは77位と、前年の100位から大幅に上昇した。駐日インド大使館のスリバスタバ首席公使は「77位で満足しているわけではない」と述べ、政府が一段と環境整備に注力する姿勢を示した。
榊原理事長は「インドのビジネス環境は言語、人種、宗教が多様で、日本は同一的だ」と述べ、両国の特徴を生かした経済協力の必要性を訴えた。