座員一丸、爆笑にトライ 川畑泰史さん(もっと関西)
私のかんさい 吉本新喜劇座長 ラグビー題材、W杯盛り上げ
■吉本新喜劇座長の川畑泰史さん(51)はラグビーを題材にした「ラグビー新喜劇」で台本作成にかかわるとともに、選手らゲストに目配りして舞台を回し大勢の観客を爆笑の渦に巻き込んだ。
新喜劇には烏川耕一君、松浦真也君ら学生時代にラグビーを経験した座員が多く、2011年にラグビー新喜劇の企画が浮上した。自分も経験者であるのが会社に伝わり、座長役として声がかかった。
タックルながい。君は報徳学園時代に花園ラグビー場(東大阪市)で開かれる全国大会に出場し、大学、社会人でも活躍した。ラグビー界の「レジェンド」で、ゲストの人選も担う。
10月10日に開いたイベントは「花園ラグビー場リニューアル記念」と銘打って、東大阪市のマスコットキャラクター「トライくん」にも出てもらった。お客さまも熱心なファンが多く、スポーツのなかでもラグビーはファンのつながりが強いと感じた。
■ラグビーを始めたのは京都府立桃山高校2年生のとき。きっかけはテレビの人気ドラマだった。
ハンドボール部などに入ったが、自分に合わなかった。弱小チームが熱血漢の先生の指導で強くなるドラマ「スクール☆ウォーズ」に夢中になった。モデルとされた京都市立伏見工業高校が近くにあったのも影響を受けた。母校のラグビー部は2年生と1年生を合わせてもチームに必要な15人ほど。レギュラーになれる可能性があった。
途中入部なので周囲の冷たい視線を跳ね返そうと必死に練習した。ポジションはセンターだが、試合でトライを決めた経験はなく、伏見工の3軍と練習試合をしたときは100点近く取られるほど弱かった。
■高校卒業後、会社員生活を経て、お笑いの道に。新喜劇一筋で先輩芸人を見ながら腕を磨いた。
友人と組んだ音楽バンドをアルバイトしながら続ける考えだったが、学校に勧められるまま医薬品の卸会社で働きだした。数年たってバンド仲間が継続を迷い、テレビで活躍するダウンタウンさんを見て、お笑いの道に心が傾いた。
新喜劇入団当初は池乃めだかさんに憧れ、アルバイトを紹介してもらうなどお世話になった。ただ、自分は"ボケ"より"ツッコミ"が向いていると気づいてからは内場勝則さんを師と仰いだ。出番がないときも台本を手に入れ、テレビを録画して内場さんの言い回しを徹底的にまねした。
新喜劇はラグビーと共通点が多い。出演者はラグビーのチーム(15人)と同じぐらい。役割が分担されているのも、ラグビーのポジションに当てはまる。
パスをつないでトライを決めるのは、会話や演技のやり取りでお客さまを笑わせるのと同じだ。チームワークが大切なのも一緒。誰かがトチっても、拾って笑いに変えるのが新喜劇だ。
座長もタイプが分かれる。すっちー君は自ら動き回って笑いを取るから、ラグビーならバックスかな。一方、自分はバックスに指示を出すスクラムハーフなどの役割と思う。
■来年開催されるラグビーワールドカップ(W杯)では、関西でも花園、神戸と2会場で試合が行われる。盛り上げに一役買おうと腕をぶする。
日本でのW杯、関西での試合開催に気分が高ぶっていたが、日本代表と海外勢との前哨戦を見ていると、関西の盛り上がりは関東に比べてまだまだと感じる。
来年のW杯までにあと1回はラグビー新喜劇を開きたい。10年ほど前にプロレス団体のドラゴンゲートと一緒にプロレス新喜劇を開いた。ラグビー場のフィールドで決定的瞬間をスローモーションで見せるなど、新喜劇に挑戦してみたい。
生駒山に登ったときにリニューアルされた花園ラグビー場を眺めたら、キレイになっていて驚いた。来年は新喜劇60周年という節目の年。スケジュールが空いていれば観戦したい。
(聞き手は東大阪支局長 苅谷直政)
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