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月給10万円からの出発 独立リーグで見る夢

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先日、独立リーグのトライアウトを見る機会があった。11球団で構成するルートインBCリーグと4球団の四国アイランドリーグプラスが合同で開催したもので、11月10、11日に四国会場(レクザムボールパーク丸亀)、17、18日は関東会場(読売ジャイアンツ球場、ロッテ浦和球場)で行われた。私が見たのは浦和球場での18日。前の日にジャイアンツ球場に集まった中から、投手なら投球、野手なら50メートル走やフリー打撃の1次テストを通過した選手が2日目の2次テストに進んだ。

角中、又吉…出身者の活躍が励みに

独立リーグのチームを戦力外になった選手のほかに、新たに独立リーグでのプレーを目指す選手もいて、会場は緊張感がみなぎっていた。投手で目に付いたのは140キロ台後半の球速が出ていた韓国出身の選手。野手で力があるなと思ったのも韓国の選手だった。独立リーグでプレーできるかどうかというレベルの日本選手は概して非力で、体にパワーがある韓国選手が目立つのは当然ともいえた。

独立リーグのトライアウトで面白いのは合格発表の場がドラフト会議であること。11月22日、やはりBCリーグとアイランドリーグが合同で実施したドラフト会議では、四国と関東で2次テストを受けた計124人のうち、30人が指名を獲得した。

どちらのリーグも選手の報酬は月10万~40万円。最低報酬であればアルバイトをしなければやっていけず、同じプロでも軽く数千万円の年俸を稼ぐ日本野球機構(NPB)の選手とは比べるべくもない。現役引退後も社員の立場が保障される社会人野球の選手と比べても、境遇の差は明らかだ。そんな明日をも知れぬ生活にあえて足を踏み入れようとするのは、いずれNPBの球団へ、という強い思いがあるからだ。

NPBで見事に花開いた独立リーグ出身者の存在が励みになってもいる。2007年、アイランドリーグ高知から大学生・社会人ドラフト7巡目でロッテに入った角中勝也は、初めて規定打席に到達した12年に打率3割1分2厘で首位打者を獲得。16年は3割3分9厘で再び首位打者に輝き、最多安打(178本)のタイトルも手にした。又吉克樹は14年、アイランドリーグ香川からドラフト2位という高順位で中日入りし、貴重な中継ぎに育った。今年のドラフトでも7人が指名を受け、「独立リーグ→NPB」のルートは今や王道の一つになりつつある。

トライアウトの会場で驚いたのは、各チームの首脳陣にNPBでプレーした人が多くいることだった。BCリーグ群馬監督の平野謙(元中日など)に、アイランドリーグ高知コーチの吉田豊彦(元ダイエー=現ソフトバンク=など)、BCリーグ福島総合コーチの星野おさむ(元阪神など)、BCリーグ茨城(19年からリーグ戦参加予定)監督の坂克彦(元阪神など)など。

選手が薄給なのだから、平野らの報酬は推して知るべし。だが、彼らが選手に向けるまなざしは実に優しかった。現役時代は競争社会で「どうやって監督にアピールするか」「どうレギュラーを目指すか」とやってきた連中が、ステージも立場も異なる独立リーグの指導者になり、「どう選手を育てるか」と考えている。NPBと違って、イロハのイから教える必要がある選手が少なくないが、そこで喜々として指導しているのは、お金うんぬんでなく、純粋に野球と向き合う喜びが根っこにあるからだろう。選手を育てるとともに彼ら自身も育っていることを、真っ黒に日焼けしたその表情から見て取ることができた。

そうしてNPBとは別のフィールドで研さんを積んだ中に、再びNPBの球団に指導者として請われる人が多いことには妙に納得する。環境や待遇など、あらゆる面で恵まれていない独立リーグで本当の苦労を知った人だからこそ知る、NPBの選手への接し方があるだろう。そういう苦労人を広く受け入れる度量のあるNPBであってほしいと思う。

独立リーグだからこそ地元を意識

トライアウトがあった日、終了後のグラウンドでは審判や独立リーグのスタッフが紅白試合に興じていた。うれしそうにプレーしている姿を見て、彼らも心底野球が好きなんだなと思った。審判の中には、NPBの審判を目指したもののテストに落ち、独立リーグの審判をしているという人がいた。審判の世界も厳しいものだなと感じた一方、選手を含め、こういう人たちがいることで日本の野球界は成り立っているのだとも思った。そのことに一人でも多くのNPB選手が気付き、野球で食べていけることがどれだけ幸せなことなのかを感じてほしいものだ。

NPBのドラフトでソフトバンクが九州、楽天が東北の若者を取ろうとするのと同じく、いや、むしろそれ以上に、独立リーグの球団も地元選手の獲得に重きを置いている。BCリーグ新潟で球団社長補佐を務める加藤健(元巨人)によると、トライアウトなどで取りたい選手がいると、まず出身地を調べるという。地域に根ざし、地元スポンサーの支えがあって初めて運営が成り立つ独立リーグだけに、地元の選手がどれだけいるかが大事な要素になるのだそうだ。

高校球界で野球留学に拍車がかかる中、地元選手を中心にチームを構成する独立リーグは「地域対抗」の色合いが最も濃い舞台だといえる。選手・スタッフと地元が一体となって、地域の代表としての「おらがチーム」を盛り上げる。トライアウトを見たことで身近になった、独自の野球文化を持つ草の根リーグを、一人のファンとして見守っていきたい。

(野球評論家)

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