AIで水道施設を省力化 神奈川県、スタートアップと
神奈川県は県内の水道処理施設の点検作業で人工知能(AI)を活用する。フィルターの交換時期などを自動で判断できるようにし、人手不足に悩む作業現場の省力化につなげる狙い。AIを使って使用済みの水を浄化するシステムを開発したスタートアップ企業と連携して取り組み、早期の実用化を目指す。
浄水施設は水を浄化して各家庭に供給する。老朽化した水道管からさびが出ていないかなど、日々の水質や漏水のチェックは欠かせない。各浄水場には専門作業員が常駐しているが、高齢化や人手確保が課題になっており、業務の効率化が求められていた。
AIの活用は東京大学発のスタートアップ企業、WOTA(ウォータ、東京・文京)と連携して進める。同社はAIが水の汚れ具合や温度に合わせ、浄水するフィルターの種類や枚数を変えるシステムを開発しており、最短時間で水を浄化できるノウハウを持っているという。
県からは水道を管理する企業庁の職員が加わり、今後県内の浄水施設で研究に取り組む。フィルターの交換時期などを含め、無人で浄水施設内の水質を検査できる仕組みを構築していく考えだ。
県はウォータとの連携に合わせ、同社が製造する災害時用のシャワーの導入も進める。シャワーに使う9割の水をそのまま再利用できるのが特長で、地震で水道が止まった際などに備える。まず2018年度中に厚木市の総合防災センターに災害用シャワーを2台設置する。
県とウォータは22日、共同で記者会見し、黒岩祐治知事は「若い感性の新しい技術と組みどんな展開ができるのか、大変楽しみだ」と期待を示した。ウォータの北川力最高経営責任者(CEO)は「現場のベテランのノウハウをAIに学習させたい」と意気込んだ。