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プロ野球再編騒動 強まったファン重視 平成の30年

近鉄消滅に焦り 楽しい空間作りに力

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 1950年の2リーグ分立以来、プロ野球最大のピンチとなった2004年(平成16年)の球界再編騒動。危機は「見るスポーツ」の王者の地位に安住してきたプロ野球を変えた。

このまま行くと、4年後にはパ・リーグ全体で200億円以上、最悪の場合で450億円の赤字が出る――。1995年、年俸高騰などプロ野球の経営環境の悪化を案じたロッテ・重光昭夫オーナー代行が、独自に試算したリーグの行く末は暗たんたるものだった。

93年に導入されたフリーエージェント(FA)制度は、選手を獲得する側だけでなく、引き留めのための年俸アップという作用をもたらし、人件費がかさむ一因となった。

南海ホークスを買収して球界に参入していたダイエー(現ソフトバンク)が95年から王貞治監督を招くにあたり、常識を破る金額で選手と契約更改した。いい物を安くというダイエーの本業とは逆の価格破壊。必勝を期すための大盤振る舞いだったが、他球団の選手も「あいつがあれだけもらうならオレも」となって、年俸の連れ高を招くと懸念された。

93年に発足したサッカー・Jリーグの人気もあり、プロ野球界に危機感が募り始めていた。「プロ野球制度改革本部」が、大々的な市場調査に乗り出したのもこのころ。今、経営を見直さないと大変なことになる、との重光氏の危惧は当たる。

2004年6月、近鉄バファローズをオリックス・ブルーウェーブが吸収して1球団とする構想が明らかになった。近鉄球団は年間40億円の赤字だったとされる。かつて「ウチは日本最大の私鉄。球団の赤字など痛くもない」と球団幹部も威勢よかったが、バブル経済崩壊後、その赤字は見過ごせなくなった。

1994年、シーズン最終戦の相星決戦となった中日―巨人戦は長嶋茂雄監督(当時)が「国民的行事」と呼び、注目を浴びた。長嶋巨人と王ダイエーが顔を合わせた2000年日本シリーズの「ミレニアム対決」など、その時々のイベントにも恵まれ、プロ野球は盤石にみえたが、足元では危機の芽が膨らんでいた。

再編問題では近鉄・オリックスの球団統合構想に続き、親会社が苦境にあったダイエーがらみの、もう一つの合併構想が浮上した。それによりプロ野球は12球団から10球団になる。背後では1リーグ化への絵図も描かれていた。プロ野球存続のためには不可避、と賛同するオーナーも少なくなかったとされる。

しかし、経営者側は大きな点を見落としていた。選手、ファン置いてきぼりの舞台進行のなか「球団はだれのものか」という論点が浮上した。それはプロスポーツの存立基盤と意義をただす問いでもあった。

球団名に親会社の名をつけるのが当たり前だったプロ野球には親会社の宣伝媒体としての側面があった。球団が赤字でも、親会社が広告宣伝費として補填する構図。身銭を切って野球界を支えている、という意識が赤字球団の親会社にはあった。

球団をどうしようと、それは経営判断というわけ。ライオンズの西武による買収で福岡から球団がなくなったときも、ホークスが大阪から福岡に去ったときも、ファンは黙ってみているしかなかった。

しかし、時代は変わりつつあった。Jリーグが打ち出した地域密着などの動きから、プロスポーツの公共財としての側面が急拡大した。ファンも、もう傍観者に甘んじていなくていいのでは、と気づき始めていた。

古田敦也会長率いるプロ野球選手会はなし崩し的な球団削減に異を唱え、統合が避けられないのなら、新規球団の参入を検討するよう求めた。球界初のストライキを経て、楽天球団の参入が決定、12球団による2リーグ制が維持された。

ストライキという強硬手段を成功させたのはファンの支持だった。ネットでつながる人の輪が、強力なムーブメントを巻き起こした。世論形成の仕組みの変化がうかがえる事象でもあり、楽天などIT企業が台頭する産業界のプレーヤーの交代と表裏をなすものだった。

近鉄球団消滅という辛酸をなめた球界は、スポーツビジネスの原点に立ち返った。クライマックスシリーズ(CS)を採用したポストシーズンは盛り上がり、セ・パ交流戦も定着した。

各球団も親会社におんぶにだっこでは長続きしないという反省に立ち、自立の動きを早める。球場との一体運営などにより、広場でのパフォーマンスなどを展開、勝っても負けても楽しめる空間を作り出し、閑古鳥が鳴く球場はなくなった。

毎日開催しても飽きられず、3万、4万の大衆が集うイベントはそうない。プロ野球はやっとその潜在能力を生かし始めたのかもしれない。

(篠山正幸)

球団の自助努力、促すきっかけに

〈証言〉瀬戸山隆三氏(元千葉ロッテマリーンズ球団社長)

近鉄球団とオリックス球団の統合の話は、当時ロッテ球団の代表だった私も寝耳に水で、2004年6月の日経新聞のスクープで知った。そのときにはまだ、古田敦也選手会長らとの交渉の矢面に立つことになるとは思いもよらなかった。

突然、球団削減といわれても困る、少なくとも1年先延ばしして議論しましょう、というのが選手会の主張だった。12球団の経営者側の窓口となって交渉する「選手関係委員会」の委員長だった私も、内心では「ごもっとも」と思ったが、立場上、それは言えなかった。

近鉄球団を始め、赤字経営に苦しむなかで、経営者側は球団数を削減し、1リーグ制にするしか生き残りの道はない、との危機感を強めていた。

交渉の席で、私は「これは急を要する経営上の問題で(統合は)背に腹はかえられず出てきた策」と説明する一方、11球団では具合が悪いから、韓国のチームを1つ入れる手はないか、などと発言したこともあった。

最終的にはストライキまで決行した選手会の圧力に、経営者側が追い詰められ、楽天の新規参入につながっていった。

球界再編により各球団が自助努力の意識を持ち始めた。パ・リーグは早くからセ・パ交流戦をお願いしたいといっていたが、それは巨人戦の放映権、集客力を当て込んだものでもあった。1リーグ制も同様の狙いがあった。

04年当時、まだ巨人戦は1試合1億円以上の放映権が見込めたが、それからはガタガタと下がっていった。各球団は球場と一体で集客策を練るなど、巨人頼みでもなく、親会社頼みでもなく、球団単体で自立する方向に向かっていった。その契機となったのが球界再編だったと思う。

 ■フリーエージェント 選手の移籍の自由を認める制度。特定球団で一定年数稼働した選手は"年季明け"として、球団からの拘束を解かれるという大リーグの制度などにならい、1993年から導入。初年度は落合博満選手(中日から巨人へ)、駒田徳広選手(巨人から横浜へ)ら、4選手が移籍した。
 選手を獲得した球団は戦力ダウンとなる相手球団への見返りとして金銭や、自軍の選手を移籍させる「人的補償」を求められる。FA選手争奪を巡るマネーゲームに歯止めをかけるため、移籍選手の年俸は原則的に現状の金額が上限とされたが複数年契約や、成績に応じた報償など好条件が提示されるケースも多く、人件費高騰の一因とされた。
 選手を獲得する球団は資力が求められ、制度利用については球団間のばらつきもみられる。広島は江藤智選手や金本知憲選手らを他球団へ送り出したが、同制度で獲得したことはない。
 ■ポストシーズン リーグ内で優勝を争うレギュラーシーズン終了後に「世界一」や「日本一」などのタイトルをかけて戦う期間や、その仕組みのことを指す。
 日本プロ野球のポストシーズンとしてはパ・リーグが前後期制をとった1973~82年を除き、セ・パ両リーグの覇者が戦う日本シリーズしかなかったが、2004年からパ・リーグが人気興隆策の一環としてプレーオフを採用。短期決戦を制したチームをリーグ優勝としていた。
 07年から、セ・パ両リーグ統一の制度としてクライマックスシリーズ(CS)が始まった。パのプレーオフ制にはリーグ優勝を短期決戦で決めることへの批判があった。このためCSは日本シリーズへの挑戦権を得るためのシリーズとし、リーグ優勝はレギュラーシーズンの成績によることとした。セ・パ各6球団中3位までがポストシーズンに進出し、勝率5割に満たなくてもよい点などを課題とする見方もある。
ファンサービス プロ野球のファンサービスはキャンプ中のサイン会や、グッズ配布、シーズンオフのファン感謝デーなどが中心だったが、試合中継のネット配信、ポイント制を取り入れたファンクラブの会員制度など、多岐多彩なサービスが生まれている。
 球界再編後、球場と球団の一体運営によって、周辺を含む球場全体をエンターテインメント空間とする流れも定着した。ロッテは公共施設を民間委託によって活性化する「指定管理者制度」によって、06年から本拠地を運営、屋台設置など、場外も楽しめる空間としている。
 DeNAは一昨年、本拠地「横浜スタジアム」の運営会社の株式を取得し、シートをチームカラーのブルーに統一するなど、ファン目線での改修を進めている。
 借り物の球場では誘客の仕掛けにも限界がある。日本ハムが札幌ドームに代わって自前の球場を北広島市に新設するのも、運営の自由度を確保する狙いがある。

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