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秋がもたらす選手のパフォーマンスの輝き

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「スポーツの秋」というけれど、サッカーという競技に最適な時期も秋だなということをJリーグの今シーズンの終わりが近づいて、つくづく感じている。この時期のJリーグは良質のプレーが詰まった素晴らしい試合にお目にかかることが本当に多い。躍動感あふれる選手の動きから「実りの秋」という言葉を連想するほどだ。

たとえば、横浜Mを下し、湘南が悲願の初優勝を成し遂げた10月27日のYBCルヴァン・カップ決勝がそうだった。スタイルは違えども、どちらも相手に厳しくプレッシャーをかけて、マイボールにしたら味方があちこちから湧き出てアグレッシブに攻め込むチーム。そういう持ち味を当日の気温20.7度という埼玉スタジアムの爽やかな気象条件が後押ししたのは間違いなかった。

秋深まるにつれ見応えある試合増

今季の明治安田生命J1リーグは2節を残して川崎が11月10日に2連覇を決めたが、このチャンピオンにしてもパフォーマンスは秋以降の方が断然よかった。夏場はどうしても相手のプレッシャーの甘さもあり、疲れを知らないボールの方を動かしていたが、秋風とともに人も動くようになって、一気のラストスパートで広島を抜き去った。

秋のパフォーマンスの輝きはJ2も同様だ。

11月17日の最終節で劇的な初優勝を飾った松本も涼しくなって調子をぐいぐい上げてきた。反町監督が求めるものを確実に出せるようになったのだと思う。

暑さが和らげば、ボールを奪った後の守から攻、奪われた後の攻から守の切り替えを速くすることも、プレスに連続性を加えることも、相手陣内に進入するスピードを上げ、絡む人数を増やすこともストレートに表現できるようになる。人も走れてボールも動かせて、というプレーのクオリティーが高いチームが、着実に勝ち点を積み上げていく条件が整うわけである。

そういう意味で本当に残念なのは、J2の場合、J1参入プレーオフに回る横浜FC、大宮、東京V、天皇杯で4強に勝ち残っている山形以外のクラブは、このタイミングでもう今シーズンが終わってしまったことである。練習はあるにしても、気持ちの上では一足早く"冬休み"に入ったようなもの。若くて伸び盛りの選手は特に消化不良の感があるのではないか。

夏場のJリーグは選手にとって過酷な環境であるにもかかわらず、夏休みのかき入れ時ということもあって、そこに試合が集中する。当然、選手の動きは鈍く、パフォーマンスのレベルは低下するが、猛暑酷暑という条件を考えると一概に選手を責めるわけにもいかない。選手は決して手を抜いているわけではない。走りたくても走れない、動きたくても動けないというのが実情だろう。

夏から秋へ季節が移りゆくにつれ、選手のパフォーマンスは右肩上がりに上昇する。9月、10月、11月になると、Jリーグに見応えのある試合がどんどん増える。

先日見た金沢もJ2で13位に終わったけれど、試合の中身は非常に濃いものがあった。そんな素晴らしいJリーグの戦いが、ほぼ11月いっぱいでシャットダウンされることに釈然としない気持ちを抱えているのは私だけだろうか。試合を面白くし、選手を成長させる環境に、もっと気象条件というものを考慮してほしいと切に願ってしまう。

サッカーがオールラウンドな能力を求められる競技であることは言うまでもない。爆発的なパワーやスプリントとともに持久系の能力も求められる。それらの能力がすべて表現されたとき、ピッチ全体に躍動感は満ちあふれ、「サッカーってすごい競技だな」と見る人を心から感動させることができる。

過ぎし夏のワールドカップ(W杯)にしても一部の地域を除けば、ロシアの涼しい気候が選手のハードワークを後押しした。そうでなかったら、あれほどの面白い大会にはならなかっただろう。

日本の高校生のサッカーで比べても、夏のインターハイと正月の全国選手権では試合のクオリティーがまるで違う。正月の選手権の方が選手はいくらでも走れる感じになる。

本当に合理的な欧州のリーグ

欧州のリーグは、そのあたりが本当にリーズナブルでうらやましくなる。オフ明けの選手は筋肉系のトラブルを招きやすいものだが、暑い7月に新シーズンに向けて始動するのでキャンプ中に故障するリスクを小さくできる。8月の終わりごろから新シーズンが開幕、クリスマスと正月休みを挟んで翌年6月あたりで閉幕。走れない、動けない夏場の試合は徹底的に避けている。

サッカーという競技の特性を考えると、私は持久系でありながら超高速化するマラソンと、どこか似ているような気がしている。エリートのマラソンランナーたちは2時間を切ろうかという世界で鎬(しのぎ)を削るようになっているが、そんな彼らの能力を最大限に引き出すことを考えたら、夏場のレースに出場させることなどあり得ないだろう。記録更新を狙うのなら、やはり秋や冬の気象条件のよいレースに限る。

そういう意味で夏場のJリーガーというのは、秋や冬なら高速で走れる本来の力を、出し切れていないマラソンランナーのようなものといえるのかもしれない。

カレンダーづくりが現代のサッカーで最も大きな悩みであることは重々承知している。体は一つしかない選手を協会(代表)とクラブで奪い合うような格好になり、優れた選手ほどスケジュールは埋まり、疲弊する。

この難問を解決するには協会とリーグ、クラブが垣根を取り払い、英知を集結して選手の能力を引き出し、引き上げることのできるカレンダーづくりを虚心に探っていくしかないのだろう。

あるいは、サッカー界で話し合うだけではダメで、行政の支援や先端的な技術力を持つ企業の知恵を借りることも必要だろう。神戸のノエビアスタジアムで使用されているハイブリッドタイプのように、芝生ひとつとっても、技術革新は格段に進んでいる。昔ならできなかったことが今なら、あるいはもう少し先なら可能になる、ということがこれからどんどん増えるはずで、従来の枠にとらわれない議論をもっと活発に行うべきだろう。

目には見えない心と心の戦いも

さて、J1、J2とも優勝が決まったJリーグの関心は、アジア・チャンピオンズリーグ出場権(3位以内)と昇降格争いに絞られた感がある。どちらも予断を許さない状況だ。既に17位以下が確定した長崎と、もう1クラブがJ2へ自動降格となり、16位はJ1参入プレーオフを勝ち上がってくるJ2のクラブと一発勝負を行うことになる。

このJ1参入プレーオフ、毎回思いがけないドラマを生む。今回は5位大宮と6位東京Vの1回戦(11月25日)から始まり、12月2日にその勝者と3位の横浜FCが戦い、さらにその勝者が12月8日にJ1の16位と雌雄を決する。

見かけは、手ぐすね引いて待つJ1の16位が有利そうだが、プレーオフは短期決戦のノックアウト方式で行われるだけに、通常のリーグ戦ならモノをいう「番付」や「格」「位」はほとんど意味をなさない。常とはまったく異なる手法でも、勝ちさえすれば勢いがついて、「小」が「大」をのみ込むことは十分に可能だ。

規定上、引き分けならリーグ成績上位チームの勝ち扱いになる。が、「引き分けでも可」というのはメリットのようでメリットではない。メンタル的には「勝つしかない」と割り切れる側の方がすっきり戦えるからだ。

プロ野球のプレーオフでも待ち構えている方が、下から勝ち上がってきたチームに負ける"下克上"が頻発する。メカニズムは単純だ。下からはい上がってくるチームは真剣勝負の連続になる。一方、待ち構えている側はその間、練習や練習試合しかできない。

真剣勝負をくぐり抜けるチームと選手は、その間に眠っていた才能や能力が自然に引き出される状態になる。研ぎ澄まされる直感がある。真剣勝負という一番強度の高い舞台に立つことで、ぐんぐん伸びる選手が、特に若手に現れる。

ぎりぎりの戦いをやると心身ともに消耗するが、試合後に休養を取って、コンディションを整えていくと、次の戦いに向けて超回復としかいいようのない高揚を自分の中に感じるようになる。張り詰めた緊張感と、勝って挑戦者の資格を得たという手応えの中で、勝者のメンタリティーが宿るようになる。

それは、挑戦者が決まるまでの間、大事な本番があるから「けがはしたくないよね」とか「戦術の確認だけでいいよね」というような練習が専らになりがちな、J1の16位チームと差をつけることになる。この目には見えない心と心の戦いも参入プレーオフの見どころの一つになる。

(サッカー解説者)

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