首相、米中貿易摩擦に懸念 「世界で制限的措置」
【ポートモレスビー=田島如生】安倍晋三首相は18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で演説した。「世界で保護主義による貿易制限的措置の応酬が広がっている」と述べ、米国と中国の貿易摩擦に懸念を示した。「自由貿易の旗手として多国間、地域、2国間、あらゆる場で自由で公正なルールの深化に取り組む」と表明した。
「いかなる措置も世界貿易機関(WTO)ルールに従うべきだ」と指摘。「多角的貿易システムの要であるWTO改革にもしっかり取り組んでいく」と訴えた。
米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国による協定「TPP11」について「21世紀型の貿易・投資ルールの基礎となり得る」と訴えた。
APECに参加する21の国・地域による地域経済統合をめざすアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現を呼びかけた。日中やインドなど16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)やTPPを「FTAAP実現の道を開くものだ」と強調。「野心的なFTAAPの将来的な実現に向けて取り組む」と掲げた。
アジア太平洋地域でのインフラ投資を巡っては「投資国、受け入れ国双方がウィンウィンとなるよう開放性、透明性、経済性、財政健全性といった国際スタンダードを確保していくことが必要だ」と訴えた。中国から多額の投資を受けた途上国が財政悪化に陥る事例が念頭にある。
首相はアジア太平洋地域を「日本の志向する『自由で開かれたインド太平洋』の核だ」と説明した。「日本はアジア太平洋地域が発展し、世界の成長センターであり続けるよう主導的な役割を発揮していく」と強調した。