「ハエで食糧危機を救う」 ムスカが最優秀賞
ハエで人類の食糧危機を救います――。スタートアップ企業のムスカ(福岡市)が16日、事業モデルを競い合うコンテストで最優秀賞に選ばれた。イエバエの幼虫を使って肥料や飼料を精製する技術を持つ同社。流郷綾乃・暫定最高経営責任者(CEO)は「日本で着実に事業を広げ、世界をめざしたい」と意気込みを語った。
15日から2日間の日程で渋谷ヒカリエ(東京・渋谷)で開かれた大型イベント「テッククランチ東京2018」。前日登壇した20社から選ばれた6社が最終審査に挑んだ。ムスカは創業3年未満のスタートアップ100社以上の選考を勝ち抜き、賞金100万円を獲得した。
同社は畜産農家から出る家畜のふんや食品工場などの生ごみにハエの卵をまいて、そこからふ化した幼虫を栄養源として成長させる。幼虫は乾燥して飼料にするほか、残ったふんを臭いのない肥料に加工する。魚の餌にしたり、農作物の肥料などにしたりして、収穫量の増加につながるという。
登壇した流郷氏は大量生産が実現すれば、「人口増による世界の食糧危機に対応できる」とアピールした。審査員を代表して、講評したコロプラ元副社長で個人投資家の千葉功太郎氏は「リアルな社会課題をテクノロジーで解決しようとする大きな可能性を感じた」と評価した。
イベントはテクノロジー関連の米メディア、テッククランチ系のテッククランチジャパンが主催した。ムスカと同様に社会課題解決型の若い企業が注目を集め、最終審査には性的少数者(LGBT)向けの求人サイトを運営するJobRainbow(ジョブレインボー、東京・中央)や、介護支援のKURASERU(クラセル、神戸市)が選ばれていた。
(駿河翼)
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