漁業法、企業参入で与野党対決 衆院審議入り
企業が新規参入しやすいように漁業権制度などを見直す漁業法改正案が15日、衆院本会議で審議入りした。漁業権を地元の漁業協同組合に優先する仕組みなどを見直し、漁業を成長産業に育てる狙いがある。野党は小規模漁業者への影響が大きく拙速だと批判しており、今国会で対決型法案となりそうだ。
安倍晋三首相は今国会冒頭の所信表明演説で「70年ぶりに漁業法を抜本的に改正する」と表明している。吉川貴盛農相は15日の衆院本会議で「漁業者の所得を向上し、若者に魅力ある産業にしたい」と語った。
改正案はこれまで漁協に優先付与してきた漁業権を見直すのが柱だ。漁協が適切・有効に管理していなかったり、既存の漁業権がなかったりする場合は「地域の水産業の発展に寄与」する企業などに免許を与える。
乱獲を防いで価格が高い時期に販売できるようにするため、資源管理を強化する。漁船ごとに取ってもよい魚の量を割り当てる仕組みが基本となる。従来の漁船のトン数制限は和らげ、漁船の大型化を促して生産性を高める。
2019年参院選を意識する野党は小規模な漁業者には不満があるとみて、対決姿勢に傾いている。立憲民主党の神谷裕氏は15日の質疑で「首相官邸の意向を忖度(そんたく)した拙速の法案だ」と批判した。国民民主、共産、社民各党も反対の構えだ。
改正案は、6月に政府の規制改革推進会議がまとめた答申を踏まえた内容だ。農協改革などに続く、農林水産業の成長産業化を促す取り組みの一環だ。水産業に詳しい自民党議員は「水産庁が十分に野党に根回しできていない」と指摘する。
先の通常国会で成立した政府提出法、承認した条約のうち、野党第1党の立民は8割近くに賛成している。与野党が全面対決するのは2割程度だが、漁業法改正案はこれに該当する可能性が高い。