「IT大手の地位乱用監視」 公取委委員長、データ寡占を問題視
公正取引委員会の杉本和行委員長は14日、日本経済新聞などのインタビューで、プラットフォーマーと呼ばれるIT(情報技術)大手の規制が必要だとの認識を示した。「不当にデータを囲い込んだり収集したりする行為は問題がある」と指摘。各国当局の動向を見ながら「国内で支配的地位の乱用にあたる行為がないかを監視し、けん制していく」と語った。
IT大手がデータの寡占によって支配的地位を確立し、オンライン取引を仲介する際、取引先に有利な契約条件を押しつけるなどの懸念が指摘される。杉本氏は「反競争的な行為があれば対応していく」と強調。「技術革新を阻害しているかどうかという観点でも、規制のあり方を検討する必要がある」とも述べた。
政府の有識者会議がまとめた規制案では、M&A(合併・買収)審査などのルール整備や、独禁法上の「優越的地位の乱用」が適用できるようにする可能性を示した。特定の業界をまるごと強制調査の対象にする「40条調査」と呼ばれる仕組みの活用も視野に入れる。
杉本氏はこれらの案について「議論は続いており、結論が出たとは考えていない」と話した。「公取委としてどう対応するかは今後検討する」と述べたが、政策の具体化や今後のスケジュールについては言及を避けた。
政府の未来投資会議で議論されている地方銀行やバス事業者の統合基準の柔軟化は「企業統合や合併に反対しているわけじゃない」と強調。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の審査が長期化した点は「当事者から審査に必要な資料の提出などが遅かったためで、我々が長引かせたという批判は当たらない」と語った。
独占禁止法の運用見直しなどは「複数の事業者が統合しないとサービス維持できない場合は、独禁法上、問題視するものではない」と指摘した。
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