「聞いてないこと証言」 日大危険タックルで部員説明
日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、当時現場にいた部員が警視庁の調べに対し、「タックルした選手を守るために日大の第三者委員会へ実際に聞いていない内容の証言をした」との趣旨の話をしていることが13日、捜査関係者への取材で分かった。
問題の反則行為は5月に東京都調布市で行われた日大と関西学院大の定期戦で起きた。宮川泰介選手(20)が無防備な状態の関学選手に背後からタックルし、腰などを負傷させた。
問題を受け、日大は第三者委を立ち上げて部員らから聞き取り調査を実施。報告書によると、当時現場にいた部員が聞き取りに対し、タックルの直後、井上奨元コーチ(29)が内田正人元監督(63)に「やりましたね」と声をかけ、内田元監督が「おお」と応じた、と証言したという。
この証言などを根拠に第三者委は反則行為は2人の指示だったと認定。日大は7月、第三者委の報告を受け、2人を懲戒解雇処分とした。
傷害容疑での告訴を受けた警視庁は、第三者委とは別に部員らから事情聴取。捜査関係者によると、元監督と元コーチとのやり取りを証言した部員は当時、2人の会話が聞こえるほどの近くにはおらず、「実際に聞いていない内容の証言をした。タックルした選手を守るためだった」との趣旨の話をしているという。
警視庁は、試合の映像解析や複数の部員の話からも反則行為の明確な指示は確認できず、2人の刑事責任は問えないと判断し、月内にも捜査結果を東京地検立川支部に送付する方針。同支部は2人の立件を見送るとみられる。