電力・ガス競争一段と エネ各社関東冬の陣
電力と都市ガスの国内最大の需要地である関東で、各社の販売競争が激しくなってきた。日本瓦斯(ニチガス)は12日、電力小売りへの参入を正式に発表。東京電力ホールディングスもマーケティングの専門組織を新設し、都市ガスの販売促進イベントやテレビCMを再開した。エネルギー消費の多い冬場に向けて電力とガスの垣根を越えた販売合戦が熱を帯びる。
ニチガスは11月に既存顧客への電力販売を始め、12月に新規顧客への販売も始める。都市ガスとのセットの料金プランは東京ガスに比べて約2%安く設定する。
LPガスが主力のニチガスは、2017年の都市ガス自由化で東京ガスエリアに参入。電力は提携する東電のプランの紹介のみで、自社では手掛けていなかった。今回の自社販売では東電の支援を獲得。記者会見したニチガスの柏谷邦彦専務は「2社で協力して競争を活性化させていきたい」と語った。18年度中に電力で5万件、都市ガスで新たに10万件超の顧客獲得をめざす。
電力・ガスの垣根を越えた競争は他社でも広がる。東電HDの小売事業者、東京電力エナジーパートナーは7月に様々な手段で電力・都市ガスなどの販売戦略を立案するオムニチャネルグループを新設。福島第1原発事故以来自粛していたテレビCMを再開した。電力の自由化で顧客離れが止まらないなか、新たに都市ガスとのセット販売を訴えるために「顔の見える会社」としてアピールに躍起になっている。
東京ガスも7~9月末、電力の切り替え促進キャンペーンを大々的に展開。10万件の申し込みがあり、電力顧客は140万件に達した。
さらに、中部電力・大阪ガスが支援する東京急行電鉄傘下の新電力、東急パワーサプライも有力な事業者として台頭。9月末時点で東急沿線を中心に都市ガスで3万件弱、電力で16万件超を獲得した。
電力とガスは燃料費が上昇している。垣根を越えた競争が活性化することで、関東の消費者が受ける自由化の恩恵も大きくなる。