「紀平さんは時代にあったアクセル」伊藤さん絶賛
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズのデビュー戦を日本女子で初めて優勝で飾った紀平梨花(関大KFSC)が11日、NHK杯(9~11日、広島県立総合体育館)の優勝から一夜明け、会場内で取材に応じた。
「フリーの映像を見たら、自分が思っていたよりジャンプが安定している印象だった。ほとんどミスのない、ほぼ完璧な演技でうれしかった」とにっこり。GP初出場初優勝は憧れの浅田真央さんですら成し遂げていない快挙。だが紀平は「そんな実感はない。まだ1試合で、何回も続けてできているわけじゃない。真央さんに近づけるようになりたい」と謙虚に語った。
昨晩はチームメートの宮原知子(関大)や浜田美栄コーチらと食事に行き、プレゼントの整理、交流サイト(SNS)への返信などに夜中までかかった。朝からエキシビションの練習もあり、「いつもの試合よりすごい疲れた。きょうはしっかり寝たい」。16歳は疲労の抜けるのも早いようで、12日夜の練習から普段通りに参加予定という。
優勝の決め手になったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は、ショートプログラム(SP)の失敗から、1日で立て直した。ほぼ自分のものにできているようで、「踏み切るコツがつかめてきていて、高さも出るようになったのが大きい」という。
11日にNHK杯40周年を記念したショーに出演した「トリプルアクセル女子」の元祖、1992年アルベールビル五輪銀メダルの伊藤みどりさんも、「日本のトリプルアクセルの歴史を引き継いでくれてうれしい。私のはダイナミック、真央ちゃんは高さ、紀平さんはフワッと軽い。今どきの軸の作り方、時代に合った跳び方ですね」とたたえる。
次戦はGPシリーズ最終戦、フランス大会(23~25日、グルノーブル)になる。シニアデビューとなる今季、開幕前にGPファイナル(12月、カナダ)の出場など夢想だにしていなかった。「今回の1位でチャンスが来た。狙っていきたい」と意気込んでいた。
(原真子)