JR北海道、17年度も全27線区赤字 収支25億円悪化
JR北海道は9日、2017年度(18年3月期)の線区別収支状況を公表した。道内27線区(新幹線含む)の全区間が営業赤字で、約半数の13線区で赤字幅が拡大した。全線区が営業赤字となるのは、線区別収支の公表を始めた14年度から4年連続。鉄道の利用促進や事業多角化による31年度の連結黒字化が目標だが、人口減などで経営環境は厳しさが増す。
全線区の赤字総額は551億円と、16年度から25億円膨らんだ。収益は800億円とわずかながら増えたが、老朽設備の修繕などにより営業費用がかさんだ。
線区別で最も赤字額が大きかったのは北海道新幹線(新青森―新函館北斗)で、前年度より44億円悪化の98億円。16年3月の開業効果が一服し、輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均輸送人員)は4510人と2割減少した。青函トンネル内の老朽設備の更新費や車両メンテナンス費用もかさんだ。
JR北が「単独では維持困難」とした10路線13線区合計の赤字額は162億円。16年度から1億円悪化した。
特に乗客数が少ない5線区のうち、最も赤字額が多いのは日高線(鵡川―様似)の7億6千万円で、留萌線(深川―留萌、7億3200万円)、根室線(富良野―新得、7億500万円)、札沼線(北海道医療大学―新十津川、3億1400万円)と続いた。札沼線の同線区は、月形町など沿線4町が既に廃線容認を表明している。
一方、函館線の札幌―岩見沢間など札幌近郊の4線区は24億円の赤字だったものの、16年度より赤字幅を29億円縮小した。札幌と新千歳空港を結ぶ「快速エアポート」が利用好調だったほか、16年夏の台風災害で長らく運休していた帯広・釧路方面に直通する特急列車の運転が再開したことなどが奏功した。
プロ野球・北海道日本ハムファイターズが新球場の建設を決めた北広島市への新駅設置構想について、JR北の綿貫泰之常務は「これから社内で検討していく。まずは現北広島駅でどういった輸送ができるのかを含めてしっかり検討する」と述べるにとどめた。
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