「勇気と覚悟に敬意」 手術3時間、患者は安堵
「患者さんに勇気と覚悟を持ってチャレンジしていただいたことに感謝と敬意を表したい」。京都大が9日に発表したiPS細胞を用いたパーキンソン病で世界初となる移植手術。新たな再生医療の実用化に向けた第一歩を踏みだした。
京都市左京区の京大病院で正午から始まった記者会見の冒頭、執刀した菊池隆幸医師が、準備から本番に至る詳しい流れを説明。手術は3時間に及び、「左側の前頭部に穴を開け、合計約240万個の細胞を移植した」と振り返った。
手術を終えた50代の男性患者は安堵の表情を見せ、術後の経過も良好だという。
主任研究者の高橋淳教授は現在の心境を問われ「私はもともと脳神経外科医であり、臨床マインドが自分の根本だ」と答え、「外科医にとっては結果が全て。いよいよこれまで積み上げてきた結果に審判が下る状況であり、厳粛な気持ちだ」と神妙な面持ちで語った。そのうえで「長期間保存でき、世界中のどこへでも細胞を届けられる量産体制を作っていくことが今後の課題だ」と抱負を述べた。
会見は約45分で終了。高橋教授らは、並んで写真撮影に応じた際には笑顔を見せた。〔共同〕