治験開始、厳粛な気持ち 京都大会見の一問一答
iPS細胞から育てた神経細胞をパーキンソン病患者の脳に移植した京都大は9日、記者会見を開き、「積み上げてきた結果に審判が下るので厳粛な気持ちだ」などと医師主導による治験1例目に臨んだ心境を明らかにした。高橋淳教授らによる冒頭発言と一問一答要旨は次の通り。
高橋良輔・京大病院脳神経内科長「パーキンソン病に対する治験を開始し、50代の男性患者に1例目の移植手術を行った。まず片側に植えて、半年後にもう片方に植える。現在のところ、術後経過は良好だ。経過観察を行い、6カ月後に細胞の生着や腫瘍形成の有無を確認する。安全性が確認できれば、反対側の手術を行うことになる」
――初の移植手術が行われた。今の気持ちは。
高橋淳氏「患者さんに勇気と覚悟を持ってチャレンジしていただいたことに、感謝と敬意を表したい。今は研究をメインにしているが、もともとは脳神経外科医であり、臨床マインドが自分の根本だ。外科医にとって結果が全て。積み上げてきた結果に審判が下る状況で、厳粛な気持ちだ」
――今後もさまざまなハードルはあると思うが、意気込みは。
高橋淳氏「今は手作りでiPS細胞を作っているが、これでは幅広い患者に届けることができない。企業とも協力して、(iPS細胞から作った神経細胞を)世界中に届けられるような量産体制をつくりたい」
――なぜ1例目は脳の片側ずつ移植することになったのか。
高橋良輔氏「iPSの治験で一番懸念されることは、未分化の細胞が混入して、それが腫瘍を形成することだ。半年間様子を見て、それが起こらないことを確認する」
〔共同〕