ロシアがアフガン和平会議開催、米と主導権争い
【モスクワ=小川知世、ワシントン=中村亮】ロシア政府は9日、モスクワでアフガニスタン和平に関する国際会議を開いた。会議にはアフガン政府の和平交渉担当「高等和平評議会」のメンバーのほか、反政府武装勢力タリバンの代表団も参加。タリバンには米国も非公式に接触し、和平の推進を目指している。アフガンはユーラシア大陸中央部の安定の要で、ロシアは和平の主導権を米国に渡さない構えだ。
ロシアメディアによると、会議後にアフガンの評議会のメンバーはタリバンとの「直接交渉再開では合意しなかった」と語った。タリバン代表団も現在のアフガン政府が合法でなく交渉しないと述べたが「我々の要求は外国部隊の撤退で、米国と交渉する」と指摘した。双方は、ロシアが仲介する会合を利用する協議継続では一致した。
ロシアのラブロフ外相は会議冒頭で「(アフガンの)問題を解決できるのはすべての(会議)参加国による政治的な手段だけだ」と指摘。アフガンに軍隊を駐留させ、タリバン勢力と戦闘を繰り返す米国をけん制した。
タリバンは中東カタールの政治事務所から代表団を派遣。ロシア外務省によると、タリバンの国際会議への公式参加は初めて。米国、中国、パキスタン、インド、イランなども参加した。
中国の広域経済圏構想「一帯一路」推進にもアフガンの安定は必要だ。
和平を巡るアフガン政府とタリバンの直接協議は2015年を最後に中断。ロシアは水面下でタリバンを支援。一方、トランプ米政権は米軍撤退に向け和平を進める構え。9月にはハリルザド元駐アフガン大使を和平担当特別代表に任命。同氏はタリバンと接触。同月にはアフガン駐留米軍の司令官も交代させた。