参院予算委論戦のポイント
足立信也氏(国民民主・新緑風会、大分)
【高齢者就業】
足立氏 70歳まで働くことを選べるのは大事だが、一様にそうするとの考え方は取るべきではない。
根本匠厚生労働相 働く意欲のある高齢者が活躍できる社会の実現を目指すのが重要だ。ただ本人の希望や健康状態もあり、多様な選択肢を検討する必要がある。
【外国人労働者】
足立氏 給与や税、保険負担にマイナンバーを利用しないのか。
石田真敏総務相 マイナンバーは、個人情報保護に配慮して情報を一元管理しない仕組みを採用している。マイナンバーの違憲訴訟などを考えると利用は極めて難しい。
足立氏 受け入れを拡大すれば(一定額を超えた部分を公的保険でカバーする)高額療養費制度などが適用され、医療費が増大する。
安倍晋三首相 高額療養費制度を、本来あるべき形以外でわが国に来て、直ちに使う方が実際にいた。私もその問題を指摘してよく整理するように言った。しっかりと対応できる仕組みを作る。
足立氏 共生に向けた外国人労働者の社会保障制度や日本語教育などの支援策をいつ示すのか。
山下貴司法相 受け入れや共生のための総合的な対策を年内に取りまとめる。総合対策では(入管難民法改正案で新設する)在留資格のみならず、全ての外国人を対象として政府がやるべき大きな政策を策定する。
足立氏 一夫多妻の国から来日した場合、配偶者と認められた人以外の妻や子どもは被扶養者になるのか。
厚労相 配偶者は1人に限定される。2人目、3人目の妻は(被扶養者に)ならないが、本人の子どもは対象になる。
小池晃氏(共産、比例)
【外国人労働者】
小池氏 新たに在留資格を与える外国人は雇用の調整弁なのか。
首相 調整弁として使うという考えではない。必要な人材が確保されても、在留を直ちに打ち切り帰国させることは考えていない。
小池氏 外国人技能実習制度で失踪者が続出する現状を正すことなく、外国人労働者の受け入れを拡大すれば国際的な批判を招くのではないか。
首相 確かにそうした状態があることを認め、今度は出入国管理庁をつくって態勢を強化して対応する。日本人と同等の報酬をしっかり確保し、外国人の活動状況の的確な把握、関係機関とも連携した調査、指導を行う。しっかりと問題点に対応することになると期待している。
小池氏 法務省の調査では、外国人技能実習生の主な失踪理由は何か。
法相 現状の賃金等への不満から、より高い賃金を求めて失踪した者が約87%だった。
【政治資金】
小池氏 政治資金収支報告書の訂正が相次いでいる。自身の責任をどう考えるか。
片山さつき地方創生担当相 大変申し訳なく思っている。精査中で、近く全体の結果を示す。
小池氏 こういう人に閣僚をさせていいのか。首相の任命責任が問われている。
首相 国民から不信を持たれることがないよう、片山氏は説明責任を果たしながら常に襟を正していかなければならない。与えられた職責を果たしてほしい。
【日米地位協定】
小池氏 沖縄をはじめ全国で米軍機の事故が起きている。日米地位協定を抜本的に改正すべきではないか。
河野太郎外相 一つ一つの事案に応じ、最も適切な取り組みを通じて具体的に解決したい。
首相 協定は大きな法的枠組みだ。環境や軍属に関する補足協定を締結しており、こうした努力を積み重ねていきたい。
浅田均氏(維新、大阪)
【自衛隊の名称】
浅田氏 自衛隊の英訳はSelf-Defense Forceで、自分を守る組織と海外で誤解される。自衛隊員の士気を高めるため、名称を変更する考えはあるか。
首相 自民党でも同じ主張する方がいる。一方、内閣府の世論調査では国民の9割が自衛隊に良い印象を持ち、名称は広く受け入れられている。現段階で変更は考えていない。
【外国人労働者】
浅田氏 労働供給を増やすと賃金が下がる。受け入れの上限は必要だ。
法相 数値については関係省庁とも検討する。(国内の)労働環境に悪影響を与えないように運用を図る。
片山大介氏(維新、兵庫)
【幼児教育無償化】
片山氏 国よりも地方の方が幼児教育無償化の負担割合が多い。
首相 国と地方で適切な役割分担をすることが基本だ。連携して無償化を進めたい。
【外国人労働者】
片山氏 単純労働に門戸を開くのではないか。
法相 政府の方針は、一定の専門性技能を有した方が日本で能力を発揮していただくという意味だ。
青木愛氏(自由、比例)
【水道法改正】
青木氏 海外では水道事業民営化で料金が上がり、水質が悪化するなど問題が表面化している。
厚労相 海外では問題が起きたが、わが国ではそれを踏まえ、しっかりと官の関与の仕組みを強化している。
青木氏 水道事業民営化の最大の問題は、生活に不可欠な水の供給を営利目的の民間企業に委ねることだ。
首相 地方自治体が事業の最終責任を維持し、民営化ではない。住民サービスの向上や業務効率化のメリットが大きいと判断した自治体のみが導入する。国民に欠かせないサービスを将来も持続可能にするため、基盤強化を図りたい。
薬師寺道代氏(無所属、愛知)
【電話リレーサービス】
薬師寺氏 聴覚障害者が、手話や文字を通訳するオペレーターを経由して音声電話をかけられる「電話リレーサービス」について、厚生労働省も総務省も自分の担当だと分かっていない。担当を整理してほしい。
首相 電話リレーサービスは重要な公共インフラだ。拡大するには人材育成やコスト負担の課題がある。課題の解決に向けた検討は、総務省総合通信基盤局が受け持つことにしたい。
〔共同〕