ファナック稲葉会長「工場、AIで自律型に」
工作機械大手、ファナックの稲葉善治会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、第20回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演し「工場は(あらゆるものがネットにつながる)IoT基盤や人工知能(AI)を本格的に導入すれば(自ら行動を考える)自律型に生まれ変わる」と指摘した。
ファナックは工作機械の頭脳に当たる数値制御(NC)装置の世界大手。産業用ロボットでもトップクラスのシェアを誇り世界の工場の自動化をリードしている。
ファナックは工場内のデータをクラウド上ではなく製造現場に近い「エッジ領域」で処理できるIoT基盤「フィールドシステム」を展開する。稲葉氏は「クラウド・コンピューティングとエッジには向き不向きがある。高速のデータ処理が求められる製造現場ではエッジが有効になる」と指摘した。
工場のスマート化を進めるためにはIoTを進めることだ重要だと強調。「私たちの商品に限らず、工場にある全ての機器やセンサーをつなげられる柔軟なプラットフォームを作れば、単細胞生物から多細胞生物の世界に進化できる」とした。
製造現場の深刻な人材不足も踏まえて「一日も早く熟練工のノウハウを電子化し、AIに学ばせるなどして自律型の工場を作りたい」と話した。現在はロボット、AIは突発的な事態に対処しにくいが「自律型工場が進化すれば人間よりもずっと効率的になる」とした。
日本経済新聞社はスイスのビジネススクール「IMD」と共同で11月7、8日に東京都内で日経フォーラム第25回「世界経営者会議」を開催します。テーマは「技術新時代のリーダーシップ」。オンラインでも有料配信します。
特設ページ