SK崔会長「企業は社会的価値創出を」 経営者会議
第20回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)は7日、国内外の経営者らがあらゆる分野でディスラプション(創造的破壊)が起きる激変期の経営課題について議論した。韓国SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は「デジタル化で市場の概念が変わった。企業は社会的価値の提供が必要だ」と語った。
崔氏は児童の貧困などの社会的課題を解決するための異業種連携や、スタートアップ支援の取り組みを紹介。「短期的な利益が多少減っても持続可能な道を追求すればマーケットも評価してくれる」との考えを示した。
資生堂の魚谷雅彦社長とパナソニックのコネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は「日本企業復活に向けた組織風土改革」をテーマに対談した。「日本特有の縦割り構造打破には全社一丸となった雰囲気作りが重要」(魚谷氏)。「競争は技術だけでなくビジネスモデルにまで及ぶ。より遠くを見るトップの視点も必要だ」(樋口氏)とそれぞれ語った。
国際会計事務所、KPMGインターナショナルのクリスチャン・ラスト技術・情報統括世界ヘッドは「デジタル変革の波がこない業界はない」と述べた。こうした時代において競争相手はもはや同業他社ではなく、「業界の外から押し寄せてくることになる」と指摘した。
世界の多くの最高経営責任者(CEO)はデジタル変革への対応の重要性について認識しているが、データをどう経営判断などに生かすかについては迷っているところがあるという。「経営層こそ、変革への対応で(従業員などに)模範を示す必要がある」と話した。
激変期の経営戦略について、IMDのドミニク・テュルパン教授は「ディスラプションを前向きに捉え、柔軟に組織、考え方を変えるべきだ」などと指摘した。
ハーバード・ビジネス・スクールの竹内弘高教授は「イノベーション(技術革新)では直感など人間性が重要になる部分もある」と応じた。日本の武道などで使われる「守破離」の考えを引き合いに、「日本企業の長期的な視点の経営も見直されている」と説明した。
日本経済新聞社はスイスのビジネススクール「IMD」と共同で11月7、8日に東京都内で日経フォーラム第25回「世界経営者会議」を開催します。テーマは「技術新時代のリーダーシップ」。オンラインでも有料配信します。
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