KPMGのラスト氏「デジタル変革、全業界に」
世界経営者会議
国際会計事務所グループ、KPMGインターナショナルの技術・情報統括世界ヘッドのクリスチャン・ラスト氏は7日、第20回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演した。「デジタル・トランスフォーメーション(変革)が来ない業界はない」と強調し、「経営者は意識改革を進めつつ、幅広いパートナーと組みながら多様性を持った経営を進める必要がある」と話した。
ラスト氏は「デジタル変革は加速度的に進み、新しい技術やデータをどこまで信頼できるかがカギになる」と話した。同社の独自調査によると、85%の企業がデジタル変革への予算を増やすとしながらも、経営者の多くはデータ活用、セキュリティーに不安を持っていると指摘した。
デジタル変革のカギはクラウドサービスで、米グーグル、中国アリババ集団などが9割以上のシェアを握る。ラスト氏は「重要情報を特定の外国企業に握られる恐怖感が経営者の信頼感を低下させている」と話し、スタートアップ企業などを含め、より多くの企業と組んでリスクをヘッジする必要があるとした。
日本企業がデジタル変革への対応で遅れている点も指摘した。同社の調査によると日本企業は47%しか対応できておらず、米国の91%、世界平均の71%に比べ遅れている。「近い将来、ホワイトカラーも含めて1億人の仕事がロボットに置き換わる。変化に乗り遅れると大変なことになる」と警告した。
KPMGは世界約150カ国のグループ拠点を通じて監査や税務、M&A(合併・買収)の助言業務を提供している。ラスト氏はテクノロジー分野に強みを持ち、同社のポートフォリオ管理やソリューション開発の責任を担う。
日本経済新聞社はスイスのビジネススクール「IMD」と共同で11月7、8日に東京都内で日経フォーラム第25回「世界経営者会議」を開催します。テーマは「技術新時代のリーダーシップ」。オンラインでも有料配信します。
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