ソフトバンク孫社長「サウジ皇太子に懸念伝えた」
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は5日に開いた記者会見で、トルコで起きたサウジアラビア人記者殺害事件について「強い遺憾の意を示したい。(ムハンマド)皇太子に直接会って我々の懸念を伝えた」と述べた。主なやりとりは以下の通り。
――サウジアラビア人記者の殺害事件が起きました。
「決してあってはならない悲惨な事件であったと認識している。ジャーナリズム、言論の自由に対する大変な問題を提起するものだ。事件の真相が一日も早く解明され、責任ある説明がなされることを心から願っている」
――ムハンマド皇太子が関与したとの疑いが浮上しています。
「先日、サウジで開かれたイベントへの参加は取りやめたが、サウジには行ってきた。皇太子、大臣、政府高官に会って我々の懸念を伝えた。『真相究明をしっかり行っていただきたい』と申し上げてきた。皇太子は『起こってはならない事件だった』という感じだった」
「ただ(ソフトバンク・ビジョン・ファンドは)サウジ国家としての資金を預かって運用している。オイルのみに頼らない、経済の多様化への責務を負っており、その責務は急に投げ出すわけにはいかない。(ビジョン・ファンドへの追加出資を受けるかについては)真相究明がなされた後にもう一度よく考える」
――通信事業に従事する社員を4割削減すると発表しました。
「低価格のいろいろなサービスをやるには、業務の効率化をしないとだめだ。多くの人に求められる低価格に応えながら、増益にしっかりコミットしたい。低価格になるから減益してもいいというのは、ゼロから創業したソフトバンクとしては言い訳として使いたくない」
「NTTドコモが値下げする方針を打ち出したが、詳細についてはまだ表明していない。ただどのような状況でもコストを削減しながら、言い訳抜きで増益していきたい」
――値下げの方針は、菅義偉官房長官の発言など官邸の意向をくんだのですか。
「はい、そうです。ただ9月に(通信料と端末代を分離した)分離プランを出して、(通信料については)25~30%値下げ済みだ。すでに大幅な値下げを行っているが、これからも続けて検討していく」
――米フェイスブックなどのプラットフォーマーへの風当たりが強まっています。プラットフォーマーをいち早く見つけて出資するファンドの戦略に狂いが生じませんか。
「我々は全く新しい勢力をGAFAの外に築こうとしており、1つの解決策ではないか。データ活用そのものを規制すると、我々の進化を阻害してしまう。セキュリティーやプライバシーとのバランスを取りながらやっていく」
「自動車の社会になれば交通ルールをつくるのは当然のことだった。人工知能(AI)の時代がやってくる。これは止められないし、止めるべきではない。弊害が起きないような範囲で規制をすることが大切だと思う」(河野真央)
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