万達、テーマパーク運営権を1千億円で売却 負債膨らみ
【台北=原島大介】中国不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)は29日、中国に13カ所あるテーマパークの運営権をすべて同業の融創中国に売却すると発表した。売却額は63億元(約1千億円)。万達は経営危機から昨夏、ホテルなど約1兆円の資産を一気に売却した。今回、さらにテーマパークまでほぼ手放し、2016年から「中国のディズニー」を目指してきた野望も2年余りでついえることになった。
売却対象は、山東省青島市など13カ所で展開するテーマパークをはじめ、ホテル、商業施設を組み合わせた大型複合施設の運営会社。万達は中国経済の急成長の波に乗り、マンション売買などの不動産ビジネスで財をなした。その後、商業施設や映画館、スポーツ分野などに事業を多角化。海外でも映画関連企業などを次々と買収し、経営トップの王健林董事長は総資産が一時、3兆円を超えるアジア一の大富豪となった。
テーマパーク事業も、16年から本格進出した事業だった。王董事長は同年に上海に開業した「上海ディズニーランド」に対し、「(我々がいる限り)20年は利益を出させない」と対抗心をむき出しにするほど、意欲を見せていた。
しかし、度重なるM&A(合併・買収)で、有利子負債は一時、2千億元(約3兆2000億円)に膨らんだ。事態を重く見た中国当局は17年、国内銀行に対して万達への融資を中止するよう要請した。
万達は資産売却を急ぐことを余儀なくされ、昨夏に続き今回、テーマパークの運営権売却にまで手を付けた。これで、万達がディズニーに打ち勝つ夢はほぼ絶たれた。