ブロック塀倒壊は耐力不足 大阪北部地震で第三者委
「安全管理責任、不明確」
6月に大阪府北部で震度6弱を観測した地震で、同府高槻市立寿栄小のブロック塀が倒壊し、登校中の女児が下敷きになり死亡した事故の調査を進めてきた市の第三者委員会(委員長・奥村与志弘関西大准教授)は29日、設計・施工不良や腐食による耐力不足が事故の主原因と考えられると答申した。
奥村委員長は記者会見で、同種のブロック塀対策として適切に法定点検を実施しても内部構造を確認できず、倒壊を防げないため「全て撤去すべきではないかと考えている」と指摘。事故の背景として、学校と市教育委員会、点検業者それぞれの危機意識が希薄で、安全管理に対する責任の所在が明確でなかったとした。
第三者委によると、約40メートルにわたり倒壊した塀は基礎部分(約1.9メートル)の上にブロックが8段(約1.6メートル)積み上げられ、高さ計約3.5メートル。1974年にプールとともに設置された。ブロックと基礎をつなぐ「接合筋」46本全てで基礎部分への埋め込みの長さが足りず、ブロックを貫く「縦筋」と溶接されていない違法状態のものや、腐食したものもあった。
建築基準法に適合した場合に比べて耐力は2割以下とみられるが、設計図はなく施工業者もすでに解散していたため、関係者へのヒアリングはできなかったという。
業者の一部がブロック塀の法定点検をしていなかった上、市教委も点検漏れがないかチェックしていなかったと指摘。奥村委員長は安全管理責任に関し「所在が不明になっていた。態勢を抜本的に変える必要がある」と強調した。〔共同〕