元米国務副長官、一帯一路「中国の利益を優先」日経・CSISシンポ
日本経済新聞社と米戦略国際問題研究所(CSIS)が26日共催したシンポジウム「激動するアジアと試練の日米同盟」は、中国の広域経済圏構想「一帯一路」と日米のインド太平洋戦略をテーマに討論した。ジェームズ・スタインバーグ元米国務副長官は中国の海外インフラ投資について「その国にとって優先順位の高い事業ではなく、中国の利益を優先している」と批判した。
スタインバーグ氏は「一帯一路を通じて国際政治への影響力を持ちたいという中国の意向と異なり、反発を生んでいる」と指摘。「ビートルズの名曲である『お金で愛は買えない』という状況だ」と述べた。
北岡伸一・東大名誉教授は中国のインフラ投資に対抗するうえで「日本のインフラは費用は高いが、質が良くて長持ちするのが強み」と強調した。「インドネシアの高速鉄道では入札で中国に負けたが、カンボジアの港湾事業では日本が出資を果たした」とも語った。
デニス・ブレア元米国家情報長官は「中国がインド洋で軍事的な影響力を拡大していくとは考えていない」と述べ、米国がアジアに構える軍事体制に優位性があるとの見方を示した。
マシュー・グッドマンCSIS上級副所長は「一帯一路の資金は1兆ドル(約110兆円)とされており、とても大きな規模だ。だがアジア全体のインフラ需要は30年までに26兆ドルにのぼるとの試算があり、決して十分ではない」と話した。