首相「日中、新たな段階へ」 7年ぶり公式訪問 26日に首脳会談
安倍晋三首相は25日午後、中国・北京を訪問する。国際会議を除く日本の首相の公式訪問は2011年の野田佳彦前首相以来、約7年ぶり。27日まで3日間滞在し、26日に習近平(シー・ジンピン)国家主席、李克強(リー・クォーチャン)首相とそれぞれ会談する。首相は訪中前に首相官邸で「両国関係を新たな段階へと押し上げていきたい」と記者団に語った。
首相は習氏らとの会談について「日中両国は地域や世界の平和と繁栄に大きな責任を共有している。この共通認識の上に胸襟を開いてじっくりと話し合いたい」と述べた。「公正な貿易体制の強化、東シナ海を平和、友好、協力の海にしていくことも率直に意見交換したい」と話した。北朝鮮問題を巡っては「朝鮮半島の非核化、日本にとって大切な拉致問題の解決について連携を確認したい」と強調した。
首相は25日昼に羽田空港を出発し、同日午後に北京で開かれる日中平和友好条約発効40周年を祝う記念式典に出席する。李首相主催の晩さん会にも参加する予定だ。
習氏との会談では、来年を想定する習氏の来日を巡り意見交換する。首脳の相互往来を定着させ、日中関係の改善に弾みをつける狙いがある。北朝鮮の非核化や米中貿易戦争も議論する。
経済分野では先端技術や知的財産保護などを巡る新対話の設置で合意する見通し。金融危機時に通貨を融通し合う通貨交換(スワップ)の再開も確認する。上限は3兆円規模とする。中国経済の発展を踏まえ、約40年続いた対中政府開発援助(ODA)は今年度で終了する。
安全保障では自衛隊と中国軍の偶発的衝突を避けるための「海空連絡メカニズム」を進める。防衛当局同士の定期交流の初会合を年内に開くことで一致する。海難救助での協力を定めた海上捜索・救助協定の早期署名でも合意する。