NEC、サムスンと提携 5G基地局の開発・営業
NECと韓国サムスン電子は24日、次世代の通信規格「5G」向け基地局の技術開発と営業で提携すると正式発表した。複雑な5G通信機器の開発を分担するほか、互いの販路を生かして米国をはじめ世界市場を開拓する。現行方式の基地局の通信機器を巡っては華為技術(ファーウェイ)など中国勢、スウェーデンのエリクソンなど欧州勢が優位に立つ。
5G基地局に必要なアンテナや信号処理装置などの機器を協力して開発・製造する。世界各国の通信会社へ売り込む。5Gは現行の100倍となる通信速度を実現するために、電波の帯域を高い周波数帯から低い周波数帯まで幅広く利用する。製品化でライバルにリードされれば、通信会社への売り込みが遅れる。
NECはサムスンが開拓している米国市場などの販路に期待を寄せる。米国ではベライゾン・コミュニケーションズが既に一部地域で5Gの商用サービスを始めている。こうした先行市場でサムスンは機器の納入に成功している。NECの基地局ビジネスはNTTドコモ向けなどほぼ国内に限られており、両社の商圏は重複していない。
基地局の機器メーカーは、中国勢が世界市場の4割を占める。ただ、米中の通商摩擦に加えて、「サイバー安全保障」も指摘されて逆風が吹く。エリクソンとフィンランドのノキアは2位、3位のシェアをそれぞれ誇り、グローバルに販路を広げている。KDDIやソフトバンク向けなど日本市場でも攻勢をかけている。NECと組むメリットが少ない。
国内では富士通も基地局ビジネスを手がけるが、NECと同じように海外では伸び悩む。NECはサムスンと組み、グローバルでの事業拡大に弾みをつける。