東京医大、入試不正で69人不合格 17・18年度
医学部入試の不正問題で、東京医科大(東京・新宿)は23日、実態などを調べている第三者委員会の第1次調査報告書を公表した。女子や長期浪人生の得点操作によって、2017、18両年度で延べ69人の男女が合格ラインを上回っていたのに不合格になっていたとしている。このうち女子が55人を占めた。第三者委は速やかに追加合格や補償を決めるよう求めた。
第三者委の第1次報告書によると、東京医大は一般入試やセンター利用入試では小論文の点数に0.8をかけ、現役と浪人回数が1回から2、3回までの男子に加点。女子や多浪の男子のほか、高卒認定試験や日本人学校などからの受験生には加点していなかった。
これまでの内部調査では、センター利用入試では得点操作はないとみられていた。
適切な合否判定をした場合、18年度の一般入試では合格ラインに達する女子は39人増えて82人、センター利用入試では5人増えて31人。17年度の一般入試では11人増えて66人になり、得点操作によって不合格になったのは2年で延べ55人。
男子と合わせると18年度は50人、17年度は19人増え、延べ69人が得点操作で不合格になっていたという。
実際の第2次試験の一般入試の合格者は18年度は男子141人、女子30人、17年度が男子82人、女子49人だった。
センター利用入試は18年度が男子39人、女子4人だったが、女子の得点操作がなかった17年度は男子20人、女子28人と女子が多かった。
このほか18年度の一般入試の補欠合格者の選定で臼井正彦・前理事長(77)=贈賄罪で在宅起訴=が学務課職員に指示し、名簿で上位の5人を飛ばし、特定の受験生に電話連絡して繰り上げ合格させていた。
入試委で合否判定をする前に臼井氏や鈴木衛・前学長(69)=同=が学務課職員に「受験番号○○に○点」と指示、特定の受験生の点数を加点することもあったという。
報告書によると、鈴木前学長は推薦入試の合否判定の入試委員会で「17年度は女性が多かったから18年度は男子を多く取りたい」などと発言。入試委の意思決定がゆがめられた疑いを指摘した。
ある受験生が不合格となる方向で議論が進んでいたところ、鈴木氏が「関係者なので」と発言し、不合格にならなかったこともあったという。
東京医大は報告書を受け、追加合格などの検討を始めている。対応方策をまとめ、11月上旬をめどに公表する。第三者委には13年度からの6年度分の調査を依頼しており、他の年度の入試については年内に報告を受ける予定だ。
第三者委は弁護士2人と医師1人で構成。東京医大は8月、内部調査委員会の報告書を公表していたが、汚職事件の事実関係が中心だった。