自民選対、執行部が一層前に 勝敗の責任重く
自民党の選挙対策委員会の顔ぶれが23日、決まった。安倍晋三首相や二階俊博幹事長に近い議員が要職を固めている。2019年春の統一地方選と夏の参院選の候補者擁立に向けた調整で、党執行部がこれまで以上に前面に出る。各派閥に任せない体制だけに、勝敗に関する責任は重くなる。
選対委員長は幹事長などと並ぶ党四役の一つで、すでに麻生派の甘利明氏が就いている。甘利氏は麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官と同じように、首相が信頼する議員だ。12年12月に第2次安倍政権が発足した直後は経済財政・再生相を務めた。
今回決まったのは甘利氏を補佐する布陣だ。
選対委員長代理には二階派の林幹雄幹事長代理が再任した。17年衆院選も選対委員長代理として実務にあたった。選対委員長代理には無派閥の梶山弘志氏、参院竹下派の石井準一氏も就いたが、筆頭格は林氏。二階派の大番頭といわれるほど、二階氏の信頼が厚い。
細田派の萩生田光一幹事長代行も選対副委員長12人の筆頭に再任した。萩生田氏は官房副長官や総裁特別補佐を歴任した首相の側近だ。選対事務局長は甘利氏に近い麻生派の山際大志郎氏が就いている。
業界団体との窓口役にもなる組織運動本部長に竹下派の山口泰明氏が再任した。竹下派は9月の総裁選で竹下亘会長と参院側が石破茂氏の支持にまわった。山口氏は安倍氏を支持した。組織運動本部長と仕事をする団体総局長は麻生派の井上信治氏だ。比例代表に各業界団体の推す候補が出馬する参院選では、団体対策も重要になる。
候補擁立に向けた調整と公認決定を、党執行部が仕切る。総裁選では派閥の動きが目立った。参院選の定数2以上の選挙区では自民党から複数の候補者擁立が可能で、各派もざわめく。党執行部が前面に出ることで、派閥をおさえ込む。半面、これからの勝敗は党執行部がより責任を負う。
沖縄県知事選、那覇市長選など最近の地方首長選で連敗が続き、統一地方選への危機感も高まる。二階氏は23日の記者会見で「負けた原因をそれぞれのポジションで検討し、党内が共通の認識を持って、今後に備えていきたい」と語った。28日投開票の新潟市長選が最初の試練となる。