2030年の人手不足、644万人 パーソル研と中央大調べ
パーソル総合研究所と中央大学は23日、日本の人手不足が2030年に644万人分となる調査結果を発表した。2017年の日本の人口の約5%に当たり、千葉県の人口(626万人)を上回る。厚生労働省が発表した昨年7月時点の人手不足(121万人)から大幅に拡大する見通しだ。労働力の確保には賃金の上昇や保育所の充実、定年の延長といった対策が不可欠と提言している。
賃金上がらなければ1000万人も
国が調査した就業者数や完全失業率、国内総生産(GDP)の成長率などのデータをもとに試算した。調査結果によると、就業者数と未充足求人を合わせた「労働需要」は2030年時点で7073万人。それに対し、失業者を除く「労働供給」は6429万人となった。その差分の644万人が人手不足となる。
賃金は上昇を続ける前提で、2030年は17年比で14%伸びると仮定している。中央大学の阿部正浩教授は「(想定通りに)賃金が上昇しなければ、1000万人の人手不足に陥る可能性もある」と指摘した。
新たな労働の担い手として女性やシニア、外国人の就労を促す必要があるとしている。パーソル総研の田井千晶リサーチ部長は、子育て期の就業率が下がる「M字カーブ」について、「解消しつつあるが、完全になくなれば100万人の労働力が確保できる」と話した。保育の受け皿として約116万人分を確保すれば、新たに102万人の労働者の増加が見込めるという。
このほかに定年延長などで、163万人のシニアの労働力を確保できると見ている。内訳は男性が22万人、女性は141万人で、女性の方が活躍の幅が広いという結果だ。政府が進める外国人の受け入れ施策を拡大すれば、外国人労働者は81万人増加する余地があるとはじいた。
(亀井慶一)