IHIが埼玉に新工場発表、航空エンジン部品整備・量産
IHIは18日、埼玉県鶴ケ島市に航空エンジン整備の工場を整備すると発表した。格安航空会社(LCC)の台頭で増大するエンジンの整備受託事業を拡大する。投資額は245億円。2019年内の稼働をめざす。同社の航空宇宙事業は利益の8割を占める主力。最新設備を備えた拠点を新設し、需要が拡大する航空機部品ビジネスの競争力を引き上げる。
埼玉県と17日、県有地の売買契約を締結した。敷地面積は約13万平方メートルで、完成後の延べ床面積は3万5000平方メートル。将来、同じ敷地内にエンジン部品の生産ラインの設置も検討している。IHI本体が生産拠点を新設するのは1998年に開設した相馬事業所(福島県相馬市)以来。
IHIは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)などの航空エンジンの世界大手の共同開発プロジェクトに参画し、エンジンの基幹部品製造を担ってきた。近年は自社が製造に関わったエンジンの整備ニーズも高まり、造船やエネルギー機械で苦戦を強いられる同社の屋台骨を支えている。
17年に整備した台数は150台。現在は主に瑞穂工場(東京都瑞穂町)の一部で手掛け、鶴ケ島の工場新設で27年の整備台数を3倍の450台に拡大する計画だ。
航空エンジンの部品点数は30万点と言われる。エンジンの機能を維持し、安全に使い続けるには分解した上で部品の洗浄、検査、修理といった高度な作業が必要になる。新工場ではあらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)を活用し、ラインの稼働状況や各段階での作業記録を電子管理するシステムを導入することで生産性を高める方針だ。
日本航空機開発協会によると、世界の空を飛ぶジェット旅客機の数は37年に17年比で1.8倍の3万9000機に増える。整備には世界各国の航空当局の認証が必要で、新規参入は容易ではない。IHIは先行するうち最新設備を導入することで、同分野での優位を固めたい思惑がある。(企業報道部 朝田賢治)
関連企業・業界