レディーフォー、調達支援多様化へ自社も資金調達
クラウドファンディングのREADYFOR(レディーフォー、東京・文京、米良はるか社長)はベンチャーキャピタル(VC)のグロービス・キャピタル・パートナーズ(東京・千代田)などを引受先とする第三者割当増資で総額5億3000万円を調達する。同社が外部の投資家から調達するのは2014年の設立以来初めて。調達資金を活用し、創業間もない企業や医療機関、研究者ら既存の金融機関からはお金が流れにくかった層の資金調達を助ける新たな仕組みを開発する。
起業家兼投資家の孫泰蔵氏が率いるミスルトウ(東京・港)、ストライプインターナショナルの石川康晴社長、メルカリの小泉文明社長も増資に応じる。
「これまでのクラウドファンディングは一時的な資金調達手段になっていた。実績のない創業者や社会性の高い事業でも継続的にお金を集められる仕組みをつくりたい」。米良社長は資金調達に踏み切った背景をこう語る。
法人化する前の11年から始めた日本初のクラウドファンディングサービス「Readyfor」は約7年間で9000件以上のプロジェクトを掲載、70億円以上の資金を集めた。「新たな資金調達手段として市民権を得てきた」(米良氏)。一方で、プロジェクトごとの資金調達に用途が限定され、支援者との関係が一過性で終わるという課題も出ていた。
そこでネット経由でソフトを提供する「SaaS(サース)」と呼ばれる仕組みを使い、事業者が支援者との長期的な関係性を構築し、継続的に資金調達できるシステムを開発。19年春をめどに新サービスを始める予定だ。詳細は今後詰めるが、資金提供の見返りに商品やサービスを提供する「購入型」、NPOや自治体に寄付する「寄付型」と呼ばれる方式を軸に検討する。創業間もないスタートアップや大学、医療機関、お祭りなど地方団体の利用を見込んでいる。
大企業との連携も強化する。これまでもアサヒグループホールディングス、ジュピターテレコムなどと組み、社会性の高いプロジェクトを実施する団体に対して、企業がクラウドファンディングで集まった支援額と同額の寄付をするプログラムを運営してきた。最近では国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」を意識する大企業が増えていることを踏まえ、「もっと大きな資金を企業から調達できる仕組みを検討する」。
レディーフォーは業績は非公開だが、売上高は数億円規模とみられ、創業1期目から黒字が続いているという。現在の社員数は約60人。事業開発やシステム開発を強化するため、今期中に30人ほどの採用を計画する。VCからの出資を受け入れることに関して、米良氏は「市場にインパクトを与えられる規模の流通額を実現し、5年以内の新規株式公開(IPO)をめざしたい」と語った。
(鈴木健二朗)