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倉敷 戦禍しのいだ美術館守る 大原美術館理事長 大原あかねさん(語る ひと・まち・産業)

つらさ癒やす場 続けたい

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■岡山県倉敷市にある大原美術館は、2020年に創立90周年を迎える日本最初の西洋美術中心の私立美術館。運営する公益財団法人の理事長、大原あかねさん(51)は同館の創設者で地元を代表する実業家、大原孫三郎のひ孫にあたる。

「父で前理事長の大原謙一郎が倉敷レイヨン(現クラレ)の大阪勤務で、京都で育った。でも出身地は倉敷だと思っている。子どもの頃から、お盆と正月は必ず倉敷の家に帰っていた。誰も(身内が)いない倉敷の家を『ただいま』と訪れ、『行ってきます』と言って京都に戻る。違和感があったが、母が許してくれない。墓参りもしていた」

「若い頃は正直『なんでやらなあかんねん』と思い反発していたが、不思議なもので、いつしかそれが当たり前になっていた。兄弟は妹だけ。中学生ぐらいから『あなたが(大原家を)継ぐのよ』と言われていた。大学は東京に出たが、盆と正月は倉敷に帰っていた」

■孫三郎の支援を受けた岡山出身の画家、児島虎次郎が渡欧し集めたエル・グレコやゴーギャン、モネなどの作品が中核。太平洋戦争末期、これら名画の存在で倉敷は空爆を免れたという説もある。

「開館時からの業務日誌が残っている。昨年2月に入館者数が3500万人に達したのも、記録から分かったこと。リットン調査団が1932年、美術館に来たのは確かだが、それ以上のものはない。"伝説"と受け止めている。美術館は戦時中も客を受け入れていた。作品はいくつか疎開させているが、見たいという人には対応していた」

「特攻隊の隊員が上官に連れられて来てもいた。当時、美術館を守っていた孫三郎の息子の總一郎が、『若き特攻隊の人たちが、故郷で最後に過ごす場所として大原に来ていた。敵国の絵に囲まれて最後の時をその人たちは過ごした』とエッセーに書き残している。そういった人のために美術館は開き続けてきたわけで、先人たちは闘ってきた。美術館がそこに在り続けたことが大事で、私にも『覚悟しろよ』と言っているように感じている」

■90周年事業として、国の登録有形文化財に指定された旧中国銀行倉敷本町出張所の建物をリニューアルし「新児島館(仮称)」を開設する予定だ。7月の西日本豪雨では、美術館のある美観地区も水没したと誤解された。

「西日本豪雨の直後、入館者は6割ぐらいになってしまったが、9月には9割を超えるまで回復した。阪神大震災の際、被災者の方が来られてじっと絵の前に座っていたと聞いた。つらい時でも『倉敷に行けば、あの絵がある』と思ってもらえるような美術館であり続けたい、と思っている」

「地方にある美術館として、いろんなものとつながって新しい価値を生み出していきたい。一方で本来、芸術は価値を求めてはいけないもの。矛盾しているが、両立しなければ。来館者の感情を固定したくないので、私は『美しい』や『楽しむ』という言葉が好きではない。来館された方には『お楽しみ下さい』ではなく、『ごゆっくりお過ごし下さい』とあいさつしている」

《一言メモ》パワー別格の創設者

「♪とらとらまごまご、離れていても二人」――。アニメ「とらとらまごまご」でも取り上げられたように、虎次郎と孫三郎の友情が美術館設立の原動力だった。1929年に早世した虎次郎を悼み、世界恐慌の中、大原家7代目の孫三郎は美術館建設にまい進した。

これに限らず、孫三郎のパワーは別格だった。実業家としては倉敷紡績(現クラボウ)2代目社長にして、中国銀行の初代頭取。中国電力の前身会社や人造絹糸(レーヨン)製造の倉敷絹織(現クラレ)、現在の倉敷中央病院も設立した。

社会事業でも最先端を走った。孫三郎が設けた倉敷労働科学研究所は大原記念労働科学研究所、大原農業研究所は岡山大の資源植物科学研究所、大原社会問題研究所は法政大の大原社会問題研究所として今も活動を続けている。

(岡山支局長 上野正芳)

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