NTT、NTT都市開発をTOBで完全子会社化へ
NTTは15日、67%を出資する不動産開発子会社のNTT都市開発をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。TOB完了後には設備子会社のNTTファシリティーズ(東京・港)と一体的に運営する街づくり事業会社を通じ、人工知能(AI)やICT(情報通信技術)を活用した不動産開発や設備設計などのビジネスを展開して、都市のデジタル化を推し進める。
TOB期間は16日から11月27日まで。新設した子会社のNTT-SHを通じて15日の終値に約3割のプレミアムをつけた1株1680円で買い付け、全株の取得を目指す。買収総額は1808億円。TOB完了後に出資関係を整理し、NTT-SHがNTT都市開発とNTTファシリティーズを傘下に置く。
「TOBで意思決定を迅速にして、デジタル化した不動産事業を進める。全国に電話局だけで7300カ所ある保有不動産の利活用を進め(東京の)大手町、品川再開発でも不動産開発企業と協業したい」。記者会見したNTTの澤田純社長は、こう述べた。NTT-SHはTOBが完了した後に社名の変更を検討する。
ソフトバンクは三菱地所や富士通などと連携し、東京・丸ノ内でビルの設備稼働や商業施設の売り上げ、人の流れなどのデータを業種を越えて活用する実証実験を進めている。三井不動産もシスコシステムズと東京・日本橋室町でAIや画像処理技術を活用し、防災サービスを高度化する実験をすでに始めている。
IT(情報技術)関連企業と不動産企業の協業が相次ぐなか、NTTはグループで通信、IT、不動産開発や設備設計や保守を手掛ける強みを生かし、不動産事業のデジタル化戦略を将来の収益の柱に育てる考えだ。
(加藤宏一)