トルコが米牧師釈放 軟禁解除で帰国
【イスタンブール、ワシントン=共同】トルコ西部イズミル県の裁判所は12日、テロ関連の罪に問われた米国人のブランソン牧師の自宅軟禁と出国禁止措置の解除を決めた。牧師は釈放され、12日夜、同県の空港から帰国の途に就いた。米メディアによると、13日に米国に到着した。
牧師拘束を巡る対立から世界経済の動揺を招いた米トルコ関係の緊張が緩和に向かいそうだが、先行きは依然不透明だ。
トランプ米大統領は12日、ツイッターで解放を歓迎。記者団に対し、釈放の見返りの合意事項に対トルコ制裁解除は含まれていないと説明した。サンダース米大統領報道官は声明で、トルコでほかにも米国人の拘束が続いていることに「深い懸念」を表明した。
トランプ政権は8月、牧師拘束を理由に対トルコ制裁を発動。トルコの通貨リラは急落し、これを契機に新興国通貨が対ドルで乱高下するなど世界の金融市場を揺るがした。トルコは牧師釈放により、対米関係修復へ事実上歩み寄った。
トルコ当局は、2016年のクーデター未遂の黒幕と断定した在米イスラム指導者一派などと関係があるとして同年10月、牧師を拘束。今年7月に自宅軟禁にした。牧師は関与を否定していた。
牧師はキリスト教右派の福音派に所属。福音派を支持基盤とするトランプ政権は11月の中間選挙を前に、牧師釈放へ対トルコ圧力を強めていた。
12日の公判で検察側証人が従来の証言を翻し、検察は自宅軟禁措置などの解除を要請した。裁判所は牧師に3年余りの禁錮刑を言い渡したが、これまでの拘束期間を踏まえるなどし釈放を決めた。トルコ大統領府高官は「トルコの裁判所は独立している」と強調した。