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おすすめ本にロボが案内、教育にも高専生の知恵

高専に任せろ!2018

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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

子供の本離れが叫ばれて久しいが、図書館に本を案内するかわいらしいロボットがいたら楽しそう――。そんな若者らしい発想を形にしたのは、栃木県第2の都市・小山市にある小山工業高等専門学校(小山高専)だ。高専生が社会の課題解決に挑む「ソーシャルドクター」の活動。その視線は教育分野への関わりを通じて、年少の子供たちにも注がれている。

小山市の中心部にある市立中央図書館。室内では床に貼られた黒いテープをなぞるように、うさぎのぬいぐるみが動き回る。「道に迷っちゃったよ~」と声を発する愛らしい姿に、子供たちがうれしそうに後を追う。川村壮司講師の研究チームが開発した図書館ロボット「うさたん」だ。子供を連れておすすめ本コーナーに着くと、「ここだよ」と言って停止。子どもたちが本を取ってうさたんのポシェットに入れると、貸出カウンターに運んでくれる。

安全性と愛らしさにこだわる

動力は12ボルトのバッテリーとモーター。機械工学科の折原慶喜さん(20)は「肝はモーターのトルク。スピードが出すぎないような設計になっている。子供のためのロボットだけに安全性は徹底的に追求した」と話す。下部に6つ、前部に3つのセンサーを搭載。子供と衝突しないよう注意をはらいながら、テープの反射を識別して動く。

初登場は2012年。モデルチェンジを繰り返し、現在は4代目だ。高専ロボコン(アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト)の指導をしていた川村講師のもと、ロボット技術を社会に還元する目的でスタート。学科を横断して約20人の学生が集まってアイデアを練った。図書館に狙いを定めたものの「本棚から本を取る」司書のような役割のロボットは、すでに企業や大学が巨額の資金を投じて開発していた。

一方、川村講師らが実施した調査では、子供たちは小学校3年生くらいになると友達と連れだって図書館に訪れるようになる。しかし中学校、高校と年齢が上がるにつれて、平均読書冊数が下がることが分かった。小学校低学年の段階で図書館を身近に感じてもらうことが何よりも重要ではないか――。読書を早期に習慣化できれば、読解力向上にもつながる。「見た目にもかわいい図書館ロボットならニーズがあり、社会的意義も大きい」と判断した。

親近感を持ってもらえるように、うさたんの声は学生がふき込んだ。あえてモーターを荒く動かすことで、「おしりを振って愛らしく見えるように」工夫するなど、細部にまでこだわった。メンバーは代替わりしながら開発を継続。子供たちの反応を拾い集めてはモデルチェンジに生かしている。来年1月には5代目の最新型をお披露目することが目標だ。

機械工学科の福地理子さん(19)は「A4判サイズの大きさまで小型化したい」と話す。自動運転システムにも使われる「ライダー」と呼ぶセンサーを採用し、床のテープなしで動けるようにすることも計画中だ。

遊んで身につく防災

兵庫県明石市の明石高等専門学校(明石高専)では、学生がオリジナルのボードゲームを使って子供たちの「防災教育」をリードしている。

「災害からどうやって街を守るか。僕たちとゲームで考えましょう」。8月22日。市内のコミュニティーセンターに集まった小学生26人を前に、学生たちがゲームの遊び方を解説していた。

 ゲームの名称は「RESQ(レスキュー)」。プレーヤーは震災の被災者となって、街を模した盤面をすごろくのように巡る。「公民館に救急セットを届けて」「けが人を病院に運ぼう」。こんな指示をこなしてポイントを集めながら、防災の知識や「共助」の精神について学ぶ趣向だ。レスキューはウェブで無償公開している。参加した子供らは次第にゲームに熱中し、終わった後は「自分でもダウンロードして友達や家族と遊びたい」と話していた。

阪神大震災の被災地に位置する明石高専では、防災を重要課題に掲げている。1年次から防災に関する科目を必修で学ばせ、民間資格「防災士」の取得も推奨。災害時に高専ならではの専門知識を生かして地域の「防災リーダー」となれるような実践的な技術者の育成を目指している。ゲームを使った啓発活動はそんな背景から生まれた。15年に当時の2年生の有志10人がグループ「明石高専防災団(D-PRO135°)」を設立したのだ。

グループ名の「D」は「disaster(災害)」、「135°」は明石市を通る日本の標準時の基準となる東経135度に由来。現在は1~5年生約30人が活動する。メンバーは阪神大震災を体験していない世代だが、さらに下の世代も視野に「自分たちで学ぶだけでなく、学んだことを地域の子供たちに広げたい」と開発に着手した。16年初めには第1弾のゲームが完成したが、「ゲーム性が低く、反省が多い」出来ばえだった。

学生たちは小学生に遊んでもらって感想を聞く一方、震災の実態を学ぶために被災者に聞き取り調査も実施した。プレーヤーが楽しく競いながら震災を追体験できるような、ゲーム性とリアリティーの融合を目指したのだ。こうして16年末にレスキューが完成した。

メンバーには防災と関係の深い学科を専攻する学生もいる。建築学科2年の山口悠利さん(16)は「自分でも何かやらなきゃ、という気持ちになって参加した」という。これまでは有志のグループだったが、一連の活動が評価され、今秋以降は明石高専の正式な学生団体となることも決まった。団体の代表で電気情報工学科4年の竹谷夏葵(19)さんは「学校からの支援も出る。活動の幅が広がる」と期待する。

地域の小学校などから「レスキューや防災について教えてほしい」という要望も相次いでいる。活動を指導する大塚毅彦教授は「高専は5年間のカリキュラムで取り組めるのが強みだ。防災教育はこれからも長く続けていきたい」と話す。

探究心や好奇心に加えて「社会の役に立ちたい」という思いも高専生の大切な資質。そんな「高専魂」を技術やアイデアを駆使して次代に伝えていく役割も担っている。

(企業報道部 小柳優太、薬袋大輝)

[日経産業新聞 2018年9月3日付]

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