NY株830ドル安、2月以来の下げ幅
米長期金利の上昇を警戒 ハイテク株に売り
【ニューヨーク=大塚節雄】ダウ平均の終値は前日比831ドル83セント(3.14%)安の2万5598ドル74セント。下げ幅は、今年2月8日(1032ドル安)以来の大きさとなった。ダウ平均は1カ月ぶりに2万6000ドル台を割り込み、8月中旬以来、約2カ月ぶりの安値水準となった。
米長期金利の指標となる米10年物国債利回りは9日、一時3.26%と7年5カ月ぶりの水準に上昇(債券価格は下落)。10日も高止まりし、金利上昇を受けて割高感が強まったハイテク株の売りを誘った。ハイテク株を大量に保有している上場投資信託(ETF)などの機械的な売りも膨らみ、「売りが売りを呼ぶ」展開となった。
投資家の先行きの相場見通しから算出し、市場心理を映す「変動性指数(VIX)」も急速に上昇。20を突破すると不安心理が高い状態とされるが、22台と4月以来の高い水準となった。
中国など米国外の景気減速懸念も影響した。景気に敏感な半導体株のほか、中国での売上比率が大きいボーイング、キャタピラー、スリーエムが4~5%下落した。
エヌビディアなどの半導体株の下落は、中国の華為技術(ファーウェイ)が米国の制裁関税に対応し、自前で高性能な半導体チップの量産を始めると発表したことも響いた。中国半導体産業の競争力強化や、IT(情報技術)を巡る米中の覇権争いを連想させた。
市場では「株安は心理を傷つけ、支出減に結びつく。景気後退に少し近づいた」(三菱UFJ銀行ニューヨークのエコノミスト、クリス・ラプキー氏)との警戒論も浮上している。