消費増税「着実に実施を」 政府税調スタート
政府税制調査会(首相の諮問機関)が10日、総会を開き2019年度以降を見据えた税制改正のあり方について議論を始めた。委員からは、19年10月の消費増税を着実に実施すべきだとの声が相次いだ。政府税調は所得税改革など中長期的な課題を中心に検討を進め、11月下旬にも議論を総括する方針だ。
10日午後に開かれた第17回目となる総会は、各委員から消費増税に対する意見が相次いだ。増田寛也元総務相は、増税分の使い道は既に決まっており「消費税の引き上げは必ず行わないと大混乱を招く」と強調。日本総合研究所の翁百合理事長も「引き上げをしっかり実施したうえで、社会保障の財源と制度をパッケージで議論しなければならない」と指摘した。
税率引き上げと同時に導入される軽減税率制度については、事業者の負担に配慮すべきだとの意見も出た。日本税理士会連合会の神津信一会長は、中小事業者に不安が根強いとしたうえで「(国税庁が)執行面で柔軟に対応しなければ企業は安心できない」とした。
今後、政府税調は11月まで週に1回程度のペースで会議を開く予定。中里実会長は会議後の記者会見で、中長期的な課題を中心に「時間をかけて丁寧な議論をする」と説明。老後の資産形成を支援するための所得税制の見直しや、相続税などによる所得再分配の検証などを進める方針だ。