築地市場、最後のセリも威勢よく 83年の歴史に幕
首都圏の台所として1935年の開場以来、83年の歴史を刻んだ東京都の築地市場(東京・中央)が6日、閉場した。マグロの卸売り場では築地での最後のセリが開かれ、いつものように威勢のよい声が飛び交った。世界的にも知られた国内屈指の中核市場は、11日に開場する豊洲市場にその座を譲る。
「築地を世界に冠たる地位に押し上げてくれた人々に心から御礼申し上げる」。水産卸、築地魚市場の吉田猛社長はマグロのセリを前に業界を代表してあいさつし、産地や市場業者、消費者への感謝の意を示した。
掉尾(とうび)を飾った最高値のマグロは162キログラムある青森県大間産で、438万5000円となった。6日は生・冷凍合わせて874本が取引された。閉場を前に築地市場協会の伊藤裕康会長は「無事に築地の幕を閉じることができるのは感慨ひとしおだ」と、記者団に述べた。
築地市場の1日当たりの水産取扱量は1500トン規模で、国内最大級。全国の水産品の価格形成にも大きな影響を与えた。近年では観光地としても人気が高まり、多くの訪日客らが訪れマグロのセリの様子などを見学した。
水産・青果の卸や仲卸、飲食・物販店など市場内の業者は同日午前で業務を終え、正午から豊洲への本格的な引っ越し作業に入る。築地は11日から解体工事が始まる。跡地は2020年の東京五輪・パラリンピックの車両基地として利用するが、その後の具体的な再開発については未定だ。
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