インド中銀 政策金利6.5%で据え置き
金融政策姿勢「引き締め」に変更
【ムンバイ=早川麗】インド準備銀行(中央銀行)は5日、政策金利を6.5%で据え置くと発表した。市場の事前予想は0.25%の利上げが大勢だったが、3会合ぶりに据え置いた。足元で通貨安や原油高が進むものの、物価上昇が落ち着いたため、利上げを見送った。一方、金融政策の姿勢を2017年2月から続いた「中立」から「引き締め」に変更した。
5日、金融政策委員会後に開いた記者会見でパテル総裁は政策姿勢の変更について「次回の会合では利上げか据え置きしかない」と述べ、利下げの可能性を排除した。
通貨ルピーは同日、1ドル=74ルピーと史上最安値を更新した。ルピーは3日に73ルピーと最安値を付けたばかりで、下落がとまらない。これに加えて原油高が続いており、通貨防衛とインフレ抑制の観点から市場では利上げが見込まれていた。
ただ消費者物価指数(CPI)上昇率は7~8月に2カ月連続で下落し、特に8月は3.69%に落ち着いた。17年11月以降、4%を超える月が続いていたが、8月は「4%前後」とする中銀の目標を下回った。性急な利上げは景気を冷やす恐れがあり、見送ったもようだ。
6月、8月の2会合でそれぞれ0.25%の利上げを実施しており、「過去2回の利上げの影響を慎重に見極めようとしているのだろう」(英調査会社キャピタル・エコノミクス)。インドは11月にヒンズー教の新年にあたる「ディワリ」を迎え、まもなく祭事商戦が始まる。据え置きは消費者にとっては朗報と言えそうだ。