首相「社会保障、全世代型に」 第4次改造内閣発足
改憲案、臨時国会提出に意欲
第4次安倍改造内閣が2日、皇居での認証式を経て発足した。安倍晋三首相は首相官邸で記者会見し「少子高齢化に真っ正面から立ち向かい、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていく」と表明した。憲法改正に関しては、秋の臨時国会への自民党改憲案の提出をめざす意向を改めて強調した。
内閣改造は2017年11月の第4次安倍内閣発足後は初めて。首相は記者会見で「それぞれのポジションで腕を磨いてきた実務型の人間を結集した。いわばあすの時代を切り開くための『全員野球内閣』だ」と説明した。
首相は政権の課題を「国難とも呼ぶべき少子高齢化だ」と強調。今後3年かけて取り組む社会保障制度改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、政府の未来投資会議で検討を始める考えを示した。生涯現役社会を実現するための雇用制度改革のほか医療や年金制度改革、子育て世代への支援拡充などを想定している。
首相は改憲を巡る党内手続きについて「下村博文憲法改正推進本部長のもとでさらに議論を深め、作業を加速させたい」と述べた。「自民党がリーダーシップをとって次の国会での改正案の提出をめざしていくべきだ」と言明した。
連立を組む公明党にも「当然、丁寧に説明しなければならない」と主張。「与党、野党にかかわらず幅広い合意を得られるように努力していくべきだ」と語った。国民投票の時期に関しては「国会次第で、予断をもつことはできない」と説明した。
首相は改造で麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官を留任させ、骨格を維持した。北朝鮮の非核化やロシアとの平和条約交渉を抱える河野太郎外相や、米国との物品貿易協定(TAG)交渉を担う茂木敏充経済財政・再生相ら重要政策を手がける閣僚は交代させなかった。
初入閣は12人となり、12年の第2次安倍内閣発足以降で最多だ。自民党7派閥中、石原派を除く6派閥から登用しており、適齢期に達しながら入閣経験のない「待機組」の議員が目立った。
初入閣組として総務相に石田真敏氏、防衛相に岩屋毅氏、沖縄・北方相に宮腰光寛氏をそれぞれ起用。総裁選で石破茂氏を支援した山下貴司氏を法相に抜てきした。首相は記者会見で「総裁選で誰に投票したか、全く考える余地はなかった」と述べた。石破派の登用で党内融和を演出する狙いがありそうだ。
自民党は2日の臨時総務会で新役員を決めた。改憲案の党内手続きを担う総務会長に加藤勝信前厚生労働相、19年参院選の実務を担う選挙対策委員長に甘利明元経財相を起用した。首相は加藤、甘利両氏に二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長を加えた党四役について「政権の土台中の土台だ」と述べた。