企業の65%「3年以内に融資勧誘うけた」 金融庁調査
金融庁は65%の企業が過去3年以内に金融機関から融資の勧誘を受けているとのアンケート調査結果をまとめた。優良企業だけでなく、財務状態の悪い企業でも42%が新規の融資や既存の借入額を増やすよう勧誘されていた。融資を増やそうと地方銀行やメガバンクが激しく競争している実態が浮かび上がった。
地銀をメインバンクとする約3万社の中小・小規模企業を対象にアンケート調査をし、8546社から回答を得た。融資の勧誘状況を尋ねたところ65%が3年以内に融資の勧誘を受けたと回答。取引がない金融機関から勧誘を受けたのは33%で、優良企業に限ると40%に達した。財務状態が悪い「破綻懸念先」でも22%だった。
内訳をみると「県内地銀」からの勧誘が51%と最も多かった。「県外地銀」は25%、「信金・信組」は23%で、メガバンクも15%だった。メインバンクから他の金融機関への借り換えを検討したかとの問いには19%が借り換えを検討したと回答。このうち約半数が実際に借り換えたという。
半面、約8割にのぼる借り換えを検討しなかった企業の理由で最も多かったのは「メインバンクを信頼しているから」で69%だった。借り換えを検討したものの、借り換えず踏みとどまった企業の回答で最も多かったのもメインバンクを信頼しているからだった。
地銀の競争環境を巡っては、長崎県2位の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと同県首位の十八銀行の経営統合に公正取引委員会が待ったをかけていた経緯がある。8月に承認されたが、統合で企業の選択の余地が狭まることを懸念した公取委の審査は2年超に及んだ。
ある金融庁幹部は「アンケート結果は、そもそも地銀の競争は激しいうえに、メインバンクを信頼して借り換えない企業が多数あることを示している」と話す。政府は未来投資会議で人口減少を踏まえた競争政策のあり方を議論する予定で、アンケート結果も影響を与えそうだ。