沖縄知事に玉城氏 政権支援の佐喜真氏破る
翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選は30日投開票され、無所属新人の玉城デニー氏(58)が、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3人を破り初当選した。政府が進める米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設が争点で、玉城氏は移設反対の野党から支援を受けた。
投票率は63.24%と前回選挙より0.89ポイント下がった。玉城氏の得票は同県知事選で過去最多だった。
玉城氏は記者団に「県民が認められないものは辺野古新基地建設だ。県民の思いをしっかり要求していきたい」と述べた。「県の埋め立て承認撤回はしっかり支持をする。新基地をつくらせないとの誓いはぶれずにこれからも全うしたい」とも強調した。
選挙戦は辺野古移設反対の玉城氏と、安倍政権が全面的に支援した佐喜真氏の対決が中心になった。佐喜真氏は「県民の暮らし最優先を訴えたが、なかなか浸透できなかった。私の力不足だ」と記者団に語った。
玉城氏は辺野古移設反対を掲げたまま8月8日に死去した翁長氏の遺志をつぐ候補として出馬し、国政の野党各党の支援を受けた。
自民党は4年ぶりの県政奪還を目指した。前回知事選で自主投票だった公明党や、日本維新の会と連動して組織戦を展開したが及ばなかった。
翁長県政の4年間は辺野古を巡って政府と対立が続いた。2代連続で移設反対派が勝利したことで国と県の溝はさらに深まった。
工事は翁長県政の副知事による埋め立て承認の撤回で止まっている。玉城氏は撤回を支持すると改めて表明したが、政府は工事再開へ法的な措置をとる方針だ。政府と県の争いは再び法廷闘争に発展する見通しだ。
日米両政府が1996年に米軍普天間基地の返還で合意してから県知事選は今回で6回目。そのうち自民党が選挙を支援した保守系の知事は98~2014年の稲嶺恵一、仲井真弘多の両氏。玉城氏が勝ったことで、14年の翁長氏から国政での野党系が支援する辺野古移設反対派の知事が続くことになった。
安倍晋三首相(自民党総裁)は2日の内閣改造・党役員人事の直前に、注目を集めた大型選挙で敗北した。19年夏の参院選を控え、政権運営に打撃となった。
8月25日告示、9月11日投開票の日程で実施される沖縄県知事選挙に関する最新ニュースと解説をまとめました。現職と新人2人の計3人が立候補を届け出ており、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非や、新型コロナウイルス感染拡大で傷ついた県経済の回復が主要争点となりそうです。