公明代表 9条改正「緊急ではない」、山口氏6選
公明党は30日に開いた党大会で、山口那津男代表の6選を承認した。井上義久幹事長が交代し、後任に斉藤鉄夫幹事長代行が昇格した。2019年の統一地方選や参院選に向け、選挙態勢を刷新した。安倍晋三首相が意欲を示す憲法9条改正では山口氏が「緊急になされるべきだとは必ずしも言えない」と慎重姿勢を示した。
山口氏が代表に就任したのは野党に転落した2009年。1998年の公明党再結成後の代表在職日数は最長だ。任期は2020年9月まで。斉藤氏は政調会長や選挙対策委員長も経験しており、党務に精通している。
山口氏は党大会で15年の安全保障関連法成立に言及。「これをしっかり守っていくことで日本の防衛は対応できる」と述べ、日本の安全保障は現行法で十分対処できるとの考えを示した。優先すべき政治課題を聞く世論調査でも改憲は順位が低いと指摘し、9条改正に慎重な姿勢をみせた。
首相は秋の臨時国会に自民党改憲案の提出をめざすと訴え、提出前に公明党と事前に協議する意向を示している。山口氏は「与党での合意形成を先んじて行わなければならないということではない」と、事前の与党協議も改めて否定した。斉藤氏も党大会後の記者会見で「国会で発議するものだから与党、野党という枠組みは意味がない」と語った。
党大会に出席した首相はあいさつで「いろんな課題もあるが誠実に真摯に議論していきたい」と述べるにとどめ、改憲には触れなかった。
支持母体の創価学会も9条改正に慎重な立場だ。公明党から首相をけん制する発言が相次ぐのは、19年参院選に向けて改憲が選挙の争点になることを懸念するためだ。
公明党は17年衆院選で解散時勢力と比べ議席を6減らし、現行制度で初めて比例代表の得票数が700万票を割った。19年は同党が国政選並みの態勢で臨む統一地方選と参院選での党勢回復も課題になる。山口氏は記者会見で「来年の選挙は連立政権にとっても大きな試練」と話した。
石田祝稔政調会長は続投させ、参院選などで訴える政策づくりを急ぐ。山口氏は「防災の党として先頭に立つ」と訴えた。防災や認知症対策など、国民生活に密着した課題で独自色を出す方針だ。石田氏は秋の臨時国会に同党がまとめた認知症施策推進基本法案の提出をめざすと表明した。
山口氏は19年参院選に出馬するため、自民党総裁任期が3年延びた安倍首相のあいだは山口体制が続く可能性がある。自公の連立政権を安定させるため、今後は「ポスト安倍」を注視しながらパイプをつくれるかも焦点になる。
党大会と大会後の中央幹事会では他の執行部人事も決めた。北側一雄中央幹事会会長は再任した。副代表には新たに井上氏が就き、留任する北側氏と古屋範子氏の計3人が山口氏を支える。国会対策委員長には高木陽介幹事長代理、選挙対策委員長には佐藤茂樹選対委員長代理を充てた。
10月2日の内閣改造では石井啓一国土交通相の留任が固まった。